プロ野球が今日30日にセ、パ両リーグで開幕する。球団初のリーグ3連覇を目指す広島は、野村祐輔投手(28)が中日戦で初の開幕投手を務める。29日、全体練習に参加した右腕は初の大役に「名誉あること」と受け止めた。対中日は過去5年、9勝2敗と好相性を誇る。開幕戦はチーム3連敗中で、開場10周年を迎えるマツダスタジアムでは未勝利とあり、メモリアル白星に期待がかかる。

 野村がプロ7年目で初の大役を担う。目前に迫ったマウンドへ、高ぶる気持ちを抑えるように、静かに決意をにじませた。「目指していたところなのでうれしいし、期待に応えられる投球をしたい。名誉あること。楽しみの方が大きい。チームが勝てる投球をしたい。ペナントの1勝目はすごく大事だと思うので」。

 リーグ2連覇中のチームだが、意外にも開幕戦は3年連続で黒星を喫している。そしてマツダスタジアムでは未勝利。先発の柱として白星に導くつもりだ。

 指名されたのは今月16日。ヤクルト戦(神宮)に6回無失点と好投した試合後に告げられた。緒方監督からは「気負うことなく自分の投球をしてくれ」と伝えられたという。昨年は9勝にとどまり、3年連続を目指したジョンソンら他にも候補がいる中での任命。「もっとやってやろうという気持ちになった」と責任感が強まった。

 初の開幕投手で勝ち投手になればチームでは10年前田健太(現ドジャース)以来となる。野村が思い描くエース像そのものだ。「僕がプロに入ってから、マエケンさんが開幕投手を務めてきた。年齢も1つしか変わらないがチームの柱として活躍していた。僕も早く追いつきたいと思っていた」。注目の一戦に勝つことで、また1歩近づける。

 中日戦は昨年2勝0敗、一昨年4勝1敗など過去5年間は9勝2敗の好成績。それでも「また戦力も違う。過去のことは気にしない」と頭をクリアにして臨む。「機動力も長打力もある打者がいる。気をつけるのは先頭打者。打ち取っていかに自分のペースに持っていくか。やりたい野球をやらせないように」とイメージを描いた。

 投げ合うのは20歳の小笠原。野村は「どの投手が相手でも、チームが勝つことが大事。3連覇、日本一を目指している。先発の柱として働けるように」と誓った。球団史上初の偉業に向けた第1歩。自身も飛躍の1年にすべく、いざ先陣を切る。【大池和幸】