ロッテとの開幕カードで負け越した楽天は、今日3日の日本ハムとのホーム開幕戦(楽天生命パーク宮城)で地元仙台市出身の岸孝之投手(33)を先発に立てる。2戦目には左腕の辛島航(27)、3戦目には成長著しい2年目の藤平尚真(19)という先発ローテーションで、一気に3連勝で巻き返しを狙う。3日は球団副会長を務め、1月に70歳で亡くなった星野仙一氏に追悼の意を表して、梨田監督をはじめ選手、コーチ一同が背番号77のユニホームを着用して戦う。天国の亡き闘将に、負ける姿を見せるわけにはいかない。

 星野さん、見ててください-。岸はホームの楽天生命パーク宮城で行われた前日練習で、マウンドの感触を何度も確かめた。かみしめるように1球ずつ投げ込み、本番のイメージを湧かせた。星野氏のラブコールの末に楽天へ入団した背番号11は、亡き闘将への感謝の思いを胸に秘めてマウンドに立つ。

 岸 星野さんに声を掛けてもらえなければ、地元のチームでやれていたか分からない。まだ、星野さんに恩を返せてない。今年1年頑張って、いい報告ができれば。シーズン通して優勝というのを届けられればいい。

 背中に魂を背負って投げる。3日のホーム開幕戦限定で、星野氏が着用した背番号77を全選手がまとう。計り知れない重圧の中での登板が予想される岸は、前日から平常心を維持していた。「明日は特別な試合。だからといって気負いすぎず、いつも通りできれば。星野さんの背番号を背負ってやるわけですから、恥ずかしくない投球はしたい」と静かに闘志を燃やした。

 岸とともにマウンドに上がった辛島、藤平も星野氏の薫陶を受けた1人だ。辛島は星野監督2年目の12年に自己最多タイの8勝を挙げた。だが、ふがいない投球をした後には「しっかりせい!」とベンチを蹴られたこともあったという。「家族は元気か、と聞いてくれる優しさはあったけど、アメとムチのムチがすごかった(笑い)」と当時を回想した。

 藤平は星野氏の「将来は間違いなく楽天のエースになれる器だ」との肝いりで、16年のドラフト1位に指名された。体調不良で先発が予定された1日のロッテ3回戦を回避し、5日にスライドした。19歳の若武者は「コンディション不良でベストな状態ではなかったけど、今は状態がいい。岸さんから始まって、いい流れで勝っていければ」と万全を強調する。天国にいる星野氏は勝利でしか喜ばない。勝って、勝って、勝ちまくる。【高橋洋平】