楽天は今日10日からオリックスとの敵地3連戦(京セラドーム)に臨む。第1戦の先発岸孝之投手(33)は9日、ホーム楽天生命パークで汗を流した。昨年は加入1年目で8勝したが、7月27日のソフトバンク戦に敗れてからは7連敗を喫した。結局昨年は、岸が先発したリーグ戦では12戦連続で自身に勝ちがつかず、今季初先発した3日の日本ハム戦でもチームが敗れた。リーグ13戦連続で先発勝利のない岸が白星をつかみ、浮上の足掛かりとする。

 静かに闘志を燃やした。岸はホーム楽天生命パークで行われた前日練習で、軽めの調整を行った。則本とキャッチボールを始め、遠投では感覚を確かめるように、じっくりと1球ずつ丁寧に右腕を振った。チームは2連敗中で借金5。苦境を脱するには、背番号11の今季初勝利が必要だ。

 「先発としての仕事をこなす。まずそこ。自分のすべきことを、できるように」

 3日の日本ハムとのホーム開幕戦は完璧な内容だった。背中には亡き闘将、星野氏の背番号77をつけて8回3安打無失点。それでもチームの勝利に結び付かず、試合後は淡々と「チームが勝つこと。本当にそこだけ」と言葉少なに語った。

 勝利が待ち遠しい。昨年7月19日の日本ハム戦で先発勝利を挙げて以来、リーグ戦では白星に見放されている。同27日のソフトバンク戦からは先発した12戦で勝利がつかず、7連敗を喫した。その間、岸は先発投手の評価指標の1つであるクオリティースタート(QS=先発6イニング以上、自責点3以下)を7戦でマークしたが、援護に恵まれなかった。それでも、勝利の責任を一手に引き受けるのが、岸という男だ。

 「自分のピッチングで勝ちを逃しているところはある。後々後悔しないように、ベストを尽くしたい」

 相手はオリックス。昨年は0勝3敗、防御率6・10と苦戦したが、抑えるイメージはできている。「出すと面倒臭い人を出さないように、気を付けること」。足の速い走者を塁に出さず、対面する打者のみに集中する。3日の日本ハム戦後にはポツリと短い言葉を残した。「最後にいい報告が出来るようにしたい」。シーズンは長い。しなやかに振る岸の右腕が、今季初勝利とともに、浮上のきっかけをつかむ。【高橋洋平】