これが元祖「SHO TIME」だ。日本ハムの4番、中田翔内野手(28)が、ソフトバンク1回戦(ヤフオクドーム)で試合を決定づける3号ソロを放った。1点差に詰め寄られた直後の7回2死。チームトップに並ぶ今季3本目のアーチを左翼席へ描いた。開幕から波に乗りきれなかった新主将が、敵地を静まりかえらせる「翔タイム」で追い上げムードを振り切った。チームも3カード連続で初戦白星。ヤフオクドームでの連敗も7で止めた。

 元祖「翔タイム」の本領発揮だ。昨年4月27日を最後に、ヤフオクドームでは勝てていなかった。ラッキーセブンが3者凡退で終われば、完全に流れが変わりそうな節目をせき止めた。「僕のホームランどうこうじゃなくて、上沢があそこまで粘り強く投げてくれたから」と、おとこ気あふれるコメント。米国ではエンゼルス大谷の活躍が「SHOW TIME」と呼称されている。中田は08年のプロ入り時から本塁打を放てば「翔タイム」。この日は敵地を静まりかえらせ、チームが勝利へのカウントダウンを刻み始める時間となった。

 原点回帰してから、徐々に結果もついてきた。開幕時は広島鈴木モデルのバットを仕様。オープン戦期間中に譲り受け、感触も良かったことから、同タイプで開幕を迎えた。しかし、4試合を終えて15打数2安打と低迷。5試合目の4日楽天戦から自身のモデルに戻した。翌5日同戦から4試合連続で打点を挙げ、この日で5試合連続打点。「バットのことは、どうでもええやろ」と話すが、舞台裏では必死だ。

 今季から主将を務めるだけに、自身のアーチには目もくれない。「(清水)優心のホームランもでかかった。今日の上沢の投球を見ていたら、それほど(逆転される)心配もなかったしね」と、後輩らをたたえる言葉ばかりが並ぶ。本塁打以外は凡退と、まだ本調子とまではいかない。本来の頼もしい勝負強さがよみがえれば、チームもさらに乗ってくる。【木下大輔】