感謝の白星だ。広島大瀬良大地投手(26)が、制球に苦しみ5四球を出しながらも6回2失点で粘った。序盤に失点を重ねながら、3回以降は我慢の投球。野手陣の攻守の援護もあり、2勝目を手にした。チームは、終盤の追い上げをかわして敵地で巨人にカード勝ち越しを決めた。他球団との対戦がこの日ひと回りして9勝6敗。DeNAに0・5差の2位につけている。

 反省だらけの2勝目だった。9回、ヒヤヒヤで逃げ切ったナインが安堵(あんど)する中、大瀬良は悔恨の言葉を並べた。「本当にいつも打線に助けてもらっている。球に力はあったけど、甘く入ってしまった」。表情からは勝ち投手となった喜びよりも、ふがいない投球となった悔しさがにじみ出ていた。

 立ち上がりから制球がまとまらず、今季投球の幅を広げていた球種、カーブも抜けた。1点の援護点をもらいながら、1回1死から連続四球。さらに2つの暴投も重なりピンチを広げると、4番マギーには右翼への犠飛を浴びた。無安打で同点。自滅からの失点はチームの士気に影響しかねない。「ボール、ボールとなると守りのリズムも悪くなる」と猛省した。2回は先頭の亀井に1発を浴びて一時勝ち越しを許した。

 カーブは最後まで使えず、緩急ではなく、力で押す投球を貫いた。「修正できたというよりも、四球を出した後が大事」と切り替え、四球での走者を置いた4回無死一塁、6回1死一塁はいずれも後続を断ち、追加点を許さなかった。

 先発陣に乱調が目立つ中、何とかゲームメークし、チームの勝利につなげた。開幕から2試合続けて足がつったが、この日は試合中に水分を積極補給した。いつも以上に1リットル~2リットルを摂取したことで、今季最多104球を投げきった。ただ、6回2安打も、5四球。2失点にまとめた投球は及第点でしかない。畝投手コーチは「修正できないと元通りになってしまう。自分の思い通りに投げられていない」と苦言を呈した。

 登板3試合目での2勝目ゲットはプロ入り最短だ。攻守に援護してもらった野手陣に感謝しながらも「また1週間練習して、勝ちをつけられるようにしたい」と前を向く。今度こそ自分の力で白星をつかんでみせる。【前原淳】