世界を知る広島菊池涼介内野手(28)が、世界を知る上原を打ち砕いた。同点の7回。2死から上原の浮いた落ちる球をフルスイングすると、打球は左翼席中段に飛び込んだ。8球で2アウトと巨人に大きく傾きかけた流れを一振りで変えた。さらに松山、エルドレッドも続き、敵地で赤が揺れた。

 5回にも価値ある1発を放っていた。1点を追う5回2死走者なし。野上の直球を捉え、同点ソロを右翼席に突き刺した。試合前の打率は2割2分8厘。「必死にみんなに迷惑をかけないように打席に入った」と気合が入っていた。

 昨年3月にWBC日本代表として世界と戦った菊池にとって、7回の打席は特別な思いがあった。「楽しみにしていた部分もあった。結果はたまたま」。昨季まで米大リーグでプレーしてきた世界を知る「UEHARA」。高ぶる感情をバットにぶつけた。昨年の7月8日ヤクルト戦(神宮)以来の1試合2本塁打はプロ初の2打席連発だ。

 守っても4回無死一塁で中井の痛烈な当たりを好捕し併殺を成立させた。打撃では思うように調子が上がらなかったが、守りからリズムを作るタイプ。開幕から15試合無失策を継続する。攻守にわたる活躍に緒方監督は「2打席連続本塁打で、本人も感じをつかんでくれたんじゃないかなと思う」と復調の兆しを感じた。3カードぶり勝ち越しとともに、菊池がきっかけをつかんだ。【前原淳】