広島が2年連続のセ・リーグ10勝一番乗りで、単独首位に再浮上した。2回1死満塁、4回1死三塁、ともに勝ち越しの適時打を放った田中広輔内野手(28)が6回、右手に死球を受けた。交代するそぶりも見せないフルイニング出場男の気迫に、ナインも呼応して逃げ切り勝ち。休まないリードオフマンが、今季2度目の3連勝に導いた。

 2年ぶりの開催となった呉のファンに、強い勝ちっぷりを披露した。3連勝でDeNAを抜いて再び首位に立った。11安打7得点。代名詞の“逆転”でものにした。殊勲者はリードオフマンの田中だ。2度の勝ち越し打を含む今季初の3打点。「いいところで1本出てよかった」とチームの勝利を喜んだ。

 2回は1死満塁から「とにかく必死に食らいついていった」とフォークを右前に運び、勝ち越しの2点適時打。追いつかれた4回にも1死三塁で巡ってきた。「またチャンスを作ってくれたので、必死に打った。抜けてくれてよかった」と前進守備の内野を破るゴロで決勝の右前打とした。

 6回、一転し暗雲が漂った。右手を直撃する死球で、その場に倒れ込んだ。途中交代なら、15年4月1日DeNA戦からの連続フルイニング出場が途切れるところだった。441試合まで伸びた記録。西武秋山の468試合には及ばないが、リーグでは2位DeNA倉本の183試合に水をあけて断トツだ。

 リーグ10勝一番乗りに緒方監督は「今日は打線に尽きる。初回から気迫あふれる攻撃を見せていた」と評価したが、田中については「力が入っていなかった」と不安を残した。新井や鈴木が不在の中、不動の1番まで離脱となれば大きな痛手。ただ「レギュラーとして試合に出続けることを一番大切にしている」と無休にこだわる田中。今日はマツダスタジアムで鉄人ぶりを見せてくれるに違いない。【大池和幸】