「逆転の巨人」の称号を得られる勝ちっぷりだった。3回までの3点差を追いつき、5回までの4点差を逆転した。最終回の守護神カミネロの乱調という波瀾(はらん)万丈に高橋監督も「いろいろあって思い出しきれるか、分からない」と苦笑いしたが「よくひっくり返したというのが一番」と勝ち名乗りをあげた。

 「逆転の」という形容詞は昨年まで希薄だった。逆転勝利数は16年は23度でリーグ6位、17年は28度で同4位。相手が前を進むと追いつけず、腕をつかまえても振りほどかれるような集団だった。だが今年は違う。13勝中7度の逆転勝利は2位。「逆転の広島」を金看板とする王者が17勝中12度と健在だが、巨人もチーム体質が変わってきている。

 逆転への土壌は自ら生んだ。先発田口が5回途中KO。だが直後にゲレーロ、マギーが連弾。1発のある打線が流れを変える。6回を宮国、7回を田原が締める。今季初勝利を手にした田原は「0点に抑えて流れを引き寄せるのが自分の仕事。打線がいいので正直、1点取られてもいい気持ちでマウンドに上がっている。3点差ならどうにかしてくれる」とチーム打率リーグNO・1打線を精神安定剤として投げている。

 最少リードに満足することなくビッグイニングを完成させる。亀井の決勝2点適時打後も坂本勇が適時打で重ね、吉川尚が12球粘っての四球で、ゲレーロの適時打につなげる。4点リードがカミネロ乱調を救ったといっても過言ではない。

 3月31日の阪神戦で3回表までの4点ビハインドを超える、この日の中盤での逆転劇。今年の巨人は最後まで目が離せない。【広重竜太郎】

 ▼巨人が4点差を逆転して7連勝。4点差以上の逆転勝ちは16年0度、17年1度の巨人だが、今季は3月31日阪神戦に次いで両リーグ最多の2度目になる。巨人の2桁得点は今季5度目で、こちらも西武の4度を抜いて両リーグ最多。昨年の巨人は8月1日、チーム94試合目で初めて2桁得点を記録し、10点以上が4度だけ。早くも2桁得点の回数は昨年を上回り、巨人が4月中に5度の2桁得点は49、50、04年に並び最多となった。