首位を独走する西武の“山賊打線”が楽天をたたきのめした。先発全員安打の今季最多16安打を放ち、今季5度目の2ケタ10得点。3本塁打だけでなく、内野ゴロの間の得点など、硬軟織り交ぜた。3連勝で貯金は今季最多となる15に増やした。5月5日のこどもの日。背番号55の秋山翔吾外野手(30)が、球団タイ記録となる8試合連続マルチ安打で引っ張った。

 山賊たちの切り込み隊長は、5回に放った中押しの4号ソロ以上に、内野ゴロに価値を見いだした。1-0で迎えた2回1死満塁。秋山は「2アウトならヒットを打たないといけないけど、1アウト。ケースに応じて、点になる打撃をしよう」と冷静だった。フルカウントから、楽天則本の抜けたフォークを「三振はしないように」と、引っかけながらバットに当てた。二ゴロを打たされたが、全力疾走。二-遊-一の併殺を阻止し、2点目を加えた。ベンチで沸く仲間たちを塁上で眺め、一緒に喜んだ。

 3回には森と木村が1発を放ち、相手エースを3回7失点でKOした。5回には、秋山も1発。8回にも2点を加え、最後まで攻撃の手を緩めない。敵の戦意を根こそぎ刈る“山賊打線”の本領発揮だった。

 敵地ファンに強力打線を印象づけたが、辻監督は「2回が大きかった」と、派手さはなかった序盤の3得点を評価した。秋山の内野ゴロの前には、木村の適時内野安打で先制。秋山の後も、源田が適時内野安打で続いた。「初回に点が入らず、則本で簡単に点は取れないところ。内野安打や内野ゴロは、足を生かした、うちの強み。点を取る打撃をしてくれた。投手としては打ち取った当たり。やっぱり、つながりですよ」と大きくうなずいた。

 しぶとい内野ゴロと、豪快な1発と、両方を放った秋山は「キム(木村)の内野安打や栗山さんの四球。みんなが粘って、しぶとくやっている。その姿勢を共有しているから、変な攻撃にならない」と力説した。これで、8試合連続マルチ安打。“元祖山賊打線”の一員75年ビュフォード、94年佐々木に並ぶ球団タイ記録だが「1番を任されているから、4、5打席は回る。一日一善じゃ、少ないでしょう」と当然のように言った。背番号55から始まる“山賊打線”。こどもの日も、強かった。【古川真弥】

 ▼秋山が2安打を放ち、これで4月28日楽天戦から8試合連続のマルチ安打。連続試合マルチ安打のパ・リーグ記録は、54年ルイス(毎日)01年小笠原(日本ハム)の10試合だが、西武では75年ビュフォード、94年佐々木に次いで24年ぶりの球団タイ記録。

 ◆山賊打線 西武ライオンズの前身、太平洋クラブライオンズで1975年(昭50)につくられた応援歌「惚れたぜライオンズ」(中村基樹)の中に「山賊打線」が登場する。2番の歌詞の冒頭で「ごつい顔だよ 山賊打線」と歌われている。この年は土井正博、白仁天、ビュフォードらが主軸。若き日の真弓明信(日刊スポーツ評論家)が、1軍に定着した。