ソフトバンク打線が主砲内川の不在を乗り越え、今季チーム最多タイの17安打12得点で完勝した。代役一塁の福田秀平外野手(29)がプロ初の4安打を放てば、代役4番のアルフレド・デスパイネ外野手(31)も先制犠飛など2安打4打点。松田宣浩内野手(34)も決勝打&9号2ランの奮闘で、チームは3連勝で貯金を今季最多の6とした。首位西武にも4月19日以来の2・5ゲームまで接近だ。

 ヒーローは心地よい充実感に浸った。左足首の自打球の影響で主砲内川が欠場。一塁の代役で出場した福田は1打席目から全開だった。

 「いい緊張感の中でやることができました」。2回、先頭打席で初打席が回ってきた。楽天美馬のスライダーを右翼へ運ぶ二塁打を放った。前日15日の3回守備から途中出場。9回に2号ソロを放った打撃の感触は忘れていなかった。今季18試合目の出場で初スタメンだった。1点ビハインドの3回2死満塁では、フォークボールをうまく左前に運ぶ逆転の2点適時打。5回にもタイムリー二塁打を放って、16年8月11日のオリックス戦(京セラドーム)以来の猛打賞を記録した。まだまだ勢いは止まらない。6回の4打席目にはセカンド内野安打で果敢に一塁ヘッドスライディングのハッスルプレー。プロ初の「4安打」を記録した。

 「今季、スタメンが初めてだったし、チャンスで打席が回ってきたのが3回ありましたけど、打つことができたのでホッとしました僕にとって大きな1日になりました」。代役福田のバットに呼応するかのように打線が活性した。今季初4番のデスパイネも先制犠飛に9回には1死満塁から走者一掃の左越え二塁打を放って4打点と気を吐いた。

 スーパーサブに甘んじている福田だが「攻走守」のポテンシャルは高い。秋山政権時代の14年、1本の電話がかかってきた。「福田をくれないか」。電話の主は中日落合GMだった。もちろん、ホークスにとっても貴重な選手だけにその要求に応えることはなかったが、希代の天才打者も福田のプレースタイルを大いに評価していた。

 内川が不在の中でも「代役福田」のけん引で打線が猛打を浴びせた。終わってみれば今季チーム最多タイの17安打12得点。敵地・仙台で連勝しチームはこれで3連勝。工藤監督も久々にエビス顔だ。「福田がいい雰囲気の中でチームを盛り上げてくれた」。首位西武が敗れたため、4月19日以来のゲーム差2・5に詰め寄った。五月晴れの杜(もり)の都でチームは上昇気流に乗る。【佐竹英治】