日本ハム村田透投手(33)が「巨人ドラ1対決」を制した。巨人3回戦に先発し、プロ初登板の巨人ドラフト1位の鍬原拓也投手(22)と投げ合った。07年大学・社会人ドラフト1巡目で巨人入りして1度も果たせなかった東京ドーム先発デビュー戦で、6回0/3を4安打2失点。堂々のマウンドさばきで古巣を下した。巨人を相手に札幌ドームで先発してプロ初勝利をマークした昨年の交流戦に続き、節目の試合を勝利で飾った。

 村田は勝利が決まると三塁側ベンチを飛び出し「ヨッシャー!」と叫んだ。「自分の勝利より、チームの勝利がうれしいです」。東京ドーム左翼席に陣取った日本ハムのファンから「村田コール」が響いた。07年のドラフト指名から3846日目。「巨人のドラ1」として目指し、届かなかった本拠地の先発マウンドで、11年間分の成長を見せつけた。

 ストライクゾーンにどんどん投げ込んだ。制球が乱れたのは1回と降板した7回だけ。1回は陽岱鋼への死球をきっかけに失点。フォームが乱れていたが、すぐ修正した。「バランス良く投げること。(軸足への)体重の乗せ方を初回とは変えた」。小学生時代、少年野球で11連続四球を出したこともある。そんな右腕が、巨人を戦力外後に単身で米球界へ飛び込むなどして身につけてきた技術、経験を存分に生かした。

 巨人時代の3年間は、東京ドームが縁遠い場所だった。チームはリーグ優勝2度、日本一1度。「自分は、いなかった。ずっと2軍にいたので、何の貢献もしていない中で盛り上がっている。やっぱり輪の中にいたかった」。闘志は消えなかった。興味のなかった海外まで足を運んで、野球を続ける目的があった。

 「僕を応援してくれた人が、僕がクビになっていい思いをしていない人が多い。やっぱり間違いじゃなかった、と証明したい」

 大きく成長して日本球界へ帰ってきた。昨季に続いて、プロ入りのきっかけを与えてくれた巨人を相手に白星を得た。

 あこがれの大体大の先輩、上原と同じ試合で投げたことも思い出となった。「僕が投げている場面でベンチから見たかった」。栗山監督は「ドラマが必要だろ」と、この日の村田先発に強くこだわった。筋書きに応えた村田は「本当に良かった」。巨人時代は出来なかった優勝へ貢献する投球を、これからも続けていく。【木下大輔】