空振りで相手投手を幻惑し、決勝打を生み出した。DeNA神里が延長11回2死二塁の好機、オリックス近藤の3球目、146キロの直球を豪快に空振りした。「あの空振りでタイミングが合ってないと(近藤が)思ったはず。次も真っすぐがくるだろうと。力まずに楽に振れば当たると思った」。狙い通り、高めの直球を捉えると、右中間を破る決勝の適時三塁打。両チームともに3安打の投手戦を1-0で制した。

 沖縄出身だが、大阪は社会人時代を過ごした第2の故郷だ。「大阪にくると落ち着く感じがありますね」。スタンドには日本生命時代から応援してくれる人の顔があった。「高校、大学と比べ、一番濃かった2年間。成長させてくれた2年間だった」。関西弁が移るほどなじんだ大阪で、プロへの道を切り開いた。昨秋、ドラフト後の日本選手権では決勝で敗れた京セラドーム大阪で、今度はヒーローになった。

 主砲の筒香が右脇腹の張りで前日から欠場。ラインアップには、今季の先発出場試合数が59試合の半分にも満たない選手が6人も並んだ。交流戦打率3割3分9厘で気を吐くルーキーは「1人1人が役割を果たせば、勝つことができると思う」。チームは1日でAクラスに返り咲いた。【栗田成芳】