乾いた快音が響き渡った。巨人岡本和真内野手(22)が間髪入れず、一息に振り抜いた。5点リードの7回2死。ヤクルト風張の初球、ど真ん中にきた141キロ直球を真芯で捉えた。バックスクリーン左へ飛び込む16号ソロで6得点のビッグイニングを完結させた。「いいところで捉えられた。思い切っていけた」。3位浮上に導く、完璧な1発を自画自賛で振り返った。

 汗が滴る間もなく先手を奪った。1回1死一、二塁、ヤクルト・カラシティーから左翼線への先制適時二塁打。不振脱却を告げる2戦連続安打で幸先よく走りだした。先制適時打&今季5度目の2戦連発弾で4番の仕事を全うし、打率を3割に復帰させるも「気を引き締めて頑張ります」と先の戦いを見据えた。

 暑い夏が好きだ。この日、試合が行われた静岡市内の最高気温は31・1度。夏本番が目の前に「暑い方がいい」と歓迎する。夏バテ知らずの若き主砲は「春先より暑い方が体が動く」。体調管理のコツは7時間以上の睡眠時間と、1日3食にこだわらず、小まめに食事をとることで体重は96キロをキープする。

 打球を飛ばすための技術は季節を問わない。ボールの内側かつ下寄りをインパクトポイントに設定。「基本的なことをしっかりやることが重要。高校の時はずっと腕を伸ばして、内側をたたく練習をした」とインサイドアウトのスイングを徹底し、ボールに力を伝えるすべを染みこませてきた。

 湿ったバットはすっかり乾いた。5日まで32打席連続無安打も、ここ5戦で2本塁打を含む6安打5打点。高橋監督も「初回のタイムリーを見ても勝負強さが戻ってきた」。頼れる主砲の打撃音が勝ちどきを呼んだ。【島根純】

 ▼岡本が2試合連続となる16号。岡本の2戦連発は6月13、14日ソフトバンク戦以来で今季5度目だ。今季、巨人は地方球場で8試合目だったが、地方球場での岡本は全試合で安打を放ち、通算33打数16安打、4本塁打、11打点の打率4割8分5厘の大当たり。岡本の活躍もあって、地方球場の巨人は6勝2敗と勝ち越している。