広島天谷宗一郎外野手(34)が現役生活を終えた。

生え抜きで17年を過ごした功労者に対して、引退試合が用意された。「1番中堅」で1イニング限定の出場。緒方孝市監督から「自分で花を咲かせてこい」と送り出された。「代打だと思っていた。きれいなグラウンドに立たせてもらい、監督に感謝したいです」。

親しみ深い中堅で、いきなり坂本勇の大きな飛球が頭上に来たが、背走しながら余裕をもってキャッチ。打席では菅野に内角スライダーを厳しく攻められ、捕ゴロに倒れた。

セレモニーでは、場内に大きな声を響かせた。

「こんな僕のためにこのような機会を設けてくれた松田オーナー、球団関係者の方々に感謝申し上げたいです。久しぶりのマツダスタジアムで、チームメートの姿を見て、ファンの皆さんを見て、本当に夢と希望にあふれた素晴らしい球場だと改めて思いました。17年間、自分なりに必死に野球をやってきました。なかなか勝てず、ファンの皆さんには悔しい思いをさせてしまった。声援のおかげでここまでやれました。3連覇し、チーム一丸で強いチームになった。新井さんの言葉を借りれば、家族のようなチームの一員になれて誇りに思います。指導くださった監督、コーチ、支えてくださったスタッフ、チームメート、僕を生んでくれた両親、いつも支えてくれた妻、そして娘たちに感謝したいです」。

菊池らと涙の抱擁を交わしてグラウンドを後にした。「緊張しました。でも楽しかったです。菅野くんが真剣勝負をしてくれて、ありがたかった。最後にNO・1投手と対戦できて、いい思い出です。捕ゴロだったのも僕らしい」と天谷らしい笑顔を見せた。