巨人が再生への道を歩み出す。CS敗退で第3次原政権へと本格的に移行する。組閣もOBを軸に人選し、着々と進行中。来季の浮沈のカギを握る1軍首脳陣はフレッシュな顔触れがそろいそうだ。1軍投手コーチに宮本氏、水野雄仁氏(53)、1軍打撃コーチに元木氏、1軍バッテリーコーチに相川亮二氏(42)を招へいすることが判明した。

宮本氏は入閣経験はないが、通算66勝左腕で89年にはリーグ優勝、日本一とダブル胴上げ投手に輝いた。明るいキャラクターで若い投手陣の兄貴分的な存在になれる。水野氏は99~01年に1軍投手コーチを務め、経験は豊富だ。元木氏も初入閣で、現役時は高い打撃センスと当時の長嶋監督から「くせ者」と称された独特の勝負勘を兼ね備える。相川氏は現役引退時もバッテリーコーチとして打診され、2年越しのラブコールで捕手育成を託す構えだ。

第2次原政権の12~14年の3連覇に貢献したFA戦士も、次世代を担う若手の指南役として招く。ともに今季限りで引退した村田修一氏、杉内俊哉氏(ともに37)をファームの指導者として就任を要請。村田氏は長距離砲として活躍し、巨人では状況に応じてチーム打撃も率先。今季は独立リーグのBC栃木でプレーし、NPB入りを目指す若手にも積極的に指導してきた。杉内氏も近代屈指の左腕として高い技術力を持ち、現役終盤は故障とも戦うなど酸いも甘いも知り尽くす。近未来のチームの土台構築にふさわしい人物だ。

なお村田真一ヘッド兼バッテリーコーチ(54)斎藤雅樹投手総合コーチ(53)は高橋監督の元で要職を務めたが、村田ヘッドは退団となる見込みで、斎藤同コーチも球団に辞意を伝えているという。高橋監督と同じ15年に現役引退し、指導者に転身した井端弘和内野守備走塁コーチ(43)も責任を感じており、辞任する意向だという。

FA市場にも動向を注視しており、広島丸、西武炭谷銀仁朗捕手(31)がFA権を行使した場合に備えて調査を進めている。丸は今季自己最多の39本塁打を放ち、選球眼も備え、出塁率は驚異の4割6分8厘。炭谷は強肩、リードを合わせた守備力では12球団随一。伸び悩む正捕手の小林への最高の手本であり、ライバルとなる。また今季限りで米メジャーのマリナーズを退団した岩隈久志投手(37)の獲得に向けて動く姿勢もある。

来季、優勝を逃せば球団ワーストの5年連続V逸。絶対に負の歴史は刻ませない。

◆宮本和知(みやもと・かずとも)1964年(昭39)2月13日、山口県生まれ。下関工から川崎製鉄水島を経て84年ドラフト3位で巨人入団。97年に現役引退。通算成績は287試合で66勝62敗4セーブ、防御率3・60。左投げ左打ち。引退後は野球評論家。

◆元木大介(もとき・だいすけ)1971年(昭46)12月30日、大阪府生まれ。上宮から89年ドラフト1位でダイエーに指名されるも、拒否して1年浪人。90年ドラフト1位で巨人入団。05年に現役引退。通算成績は1205試合で打率2割6分2厘、66本塁打、378打点。右投げ右打ち。引退後は野球評論家。