甲子園を沸かせた投打の「二刀流」が「超一流」のプロ野球選手を目指す。「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が25日に都内で行われ、大阪桐蔭・根尾昂内野手(3年)は4球団競合の末、中日が交渉権を獲得した。根尾は「ドラゴンズの一員としてしっかりやる」と早くも入団宣言。岐阜出身で幼いころから中日の試合を見てきた準地元の縁も感じ「勝利に貢献したい」と意気込んだ。

約200人の報道陣が見守るなか、根尾は1点を見つめ表情を一切変えなかった。「ほっとしています。どの球団に選んでいただけるか分からなかったので、中日ドラゴンズさんに決まったのでほっとしました」。中日が交渉権を獲得すると、少しだけ口元をゆるませた。

常々、目標にする具体的な数字は口にしない。すべての瞬間に全力をかけ勝利を目指すプレーを心掛けるからだ。「プロの世界で超一流になる」。超一流-。イメージする選手は「イチロー選手であったり」という。マリナーズ会長付特別補佐のイチローは、幼い頃からあこがれる存在。中日のお膝元、愛知出身のスターだ。09年WBC決勝でイチローが放った決勝打は目に焼き付く。長年、第一線で活躍してきた姿は、根尾が目指す姿に重なる。

岐阜・飛騨市出身の根尾は、小学生の時にドラゴンズジュニアとしてNPB12球団ジュニアトーナメントに出場。小さい頃は、テレビをつければ中日の試合が放送されていた。「何かご縁があるのかなと思いますし、こういうご縁を大切にして何としても力になりたいと思います」。高校生最多タイの7球団競合とはいかなかったが、その実力にたがわぬ今ドラフト最多タイの4球団競合。12球団トップで1位指名を公言した中日と結ばれた。「中日ドラゴンズの一員として、勝利に貢献できるようやっていきたいと思っています」。交渉を待たず、早くも入団宣言まで飛び出した。中日には大阪桐蔭OBの平田がおり「どういう練習をしてきたのか、考えをしてきたのか聞きたいと思っています」と入団後にまで思いをはせた。

大阪桐蔭の主力として、通算32本塁打、投げては最速150キロの「二刀流」として、注目され続けた。前日24日には「自分の中ではショートでいきたい気持ちがあります」と話していたが、「球団の方としっかり話をして決めたいです」と答えた。「どのポジションをやっても、チームの勝利に貢献したい」。2000年生まれのミレニアム世代を代表し、平成最後のドラフトの主役を張った男が、新たなステージに足を踏み入れる。【磯綾乃】