闘将星野仙一氏の後輩は、でっかい夢を持つ男だった。楽天にドラフト3位で指名された倉敷商・引地秀一郎投手(3年)が29日、長島哲郎スカウト部長、山下勝己スカウトからあいさつを受け「世界一のピッチャーになりたい」と宣言。将来的にヤンキース田中将大、エンゼルス大谷翔平を追い越すことを誓った。

星野氏も通った倉敷商で指名あいさつを受けた引地は、目標とする投手を聞かれると目を輝かせた。「田中将大投手のような、負けないピッチャーになりたい」。楽天が日本一となった13年は、テレビにかじりついて田中の快投を目に焼き付けた。球速の話題になると、今度は大谷の名前を挙げた。「自分の最速は、(高校)最後の夏にマークした151キロ。投手をやっている以上は大谷翔平投手が投げた165キロを目指したい」と言い切った。

甲子園出場経験もなく、上半身に頼った投げ方はまだまだ粗削り。それでも担当の山下スカウトは「キレというより重たいボール。星野さんのように『打てるもんなら打ってみぃ』と投げてほしい」と期待する。素質は間違いなく一級品だ。

小学生の時、図書券を握り締めて漫画を買いに行こうとしたが、「親から買えと言われて」とノーラン・ライアンの「ピッチャーズバイブル」を購入した。以来、不世出の大投手の投球メカニズムを自らの投球に生かしてきた。今後、田中の勝負強さと大谷のスピードが加われば「実力があれば行ってみたい」というメジャーのマウンドだって夢じゃない。【千葉修宏】