中日のドラフト1位大阪桐蔭・根尾昂内野手(18)が4日、名古屋市内の中日パレスで、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円(ともに推定)で仮契約した。背番号は未定。今季ドラフト指名新人選手104人中、仮契約第1号は「ショート一本でやる」と二刀流との決別を宣言。17年新人王の京田との正遊撃手争いに挑む。

テレビカメラ12台、約100人の報道陣に対しても18歳の高校生は動じなかった。根尾はきっぱりと言った。

「ショート一本でいかせて下さい、と伝えました」

夢がぶれることはなかった。大阪桐蔭入学時は、投手を兼ねることで、出場機会を増やした。二刀流は、遊撃手としてプロ入りするための手段。「球団によっては考えていた」と話したが、相思相愛の中日入りが、根尾の夢を後押しすることになった。

父浩さん、母実喜子さんとともに、出席した仮契約交渉。米村アマチーフスカウトは「伸びしろがあって期待を超える選手。3年の夏から誰よりも成長した。驚異的な伸び。みんなの賛同もあり野手として獲得することが決まった。心底うれしい。与田監督が引き当てた瞬間はいまでも忘れられない」と感無量の表情を見せた。遊撃一本は、ドラフト前のあいさつ時も、ドラフト翌日の与田監督の指名あいさつでも確認されていたことも明かした。

今ドラフトで指名された104人で最速での仮契約。「一番先にやっていただいたのは、がんばってほしいというものも含まれている。自覚と責任を持って、明日から生活していきたい」。中日から10月5日に12球団最速で1位指名を公表された。1位の指名あいさつもドラフト会議翌日に新指揮官同席で行われた。“ミスター最速”は、この日の仮契約に、さらに表情を引き締めた。

根尾が宣言したショートは17年新人王の京田が守っている。「とにかく先輩でもあるが、競争相手なので、自分が負けたくない気持ちを前面に出したい」と堂々宣言した。

「投手をやらせてもらってきたが、長打がある打者は怖い。長打1本ですぐ得点される。小技、何をしてくるかわからない打者は、一番守りにくい。そういう打者になりたい」。遊撃一刀流で勝負することを決めたルーキーは、大技も小技も兼ね備えた打者を目指していく。【伊東大介】

◆高卒新人の最高条件入団 根尾が契約金1億円(出来高払い5000万円)、年俸1500万円の最高条件で仮契約。新人の契約金最高標準額が設定された94年以降、最高条件で契約した高卒新人は過去13人。根尾が入団すれば、野手では07年中田、17年清宮に次いで3人目になる(金額は推定)。