日本でプレーしたい! 台湾プロ野球史上最高の打者といわれる「大王」ことラミゴ王柏融外野手(25)が、11日までロッテとの国際親善試合が行われた台湾・桃園で取材に応じ、日本移籍の強い願望を明かした。今オフ、ポスティングシステム(入札制度)での海外移籍を球団から容認されている。昨年まで2年連続で打率4割をマークした好打者の思いとは-。
台湾・桃園でロッテとの国際親善試合に臨んだ「大王」は、注目される今オフの海外移籍について静かに口を開いた。
王柏融(以下王) 一番は、日本への移籍を希望しています。
台湾プロ野球で16年は6冠、昨季も3冠王を獲得するなど、日米から注目される長距離砲。意外にも日本野球になじみがあった。
王 子どものころから、テレビ中継や報道で日本の野球をよく見ていました。イチロー選手や松坂大輔選手、松井秀喜選手が特に印象に残っています。
幼少期にあこがれた舞台に立ちたい。移籍先に求めるのは「出場機会が得られること」だという。将来的なメジャー挑戦の可能性は「機会があるなら」と話したが、最優先は日本だ。
王 現時点で日本の球団からオファーはありません。もし日本でプレーできる機会があれば、引退するまでずっと日本で活躍できたら、それほどうれしいことはないと思います。
大学からプロ入りし、すぐにプロのレベルに順応した。生来のスターと思われがちだが、実際は違う。
王 高校生の時、公式戦でホームランを打ったことがありません。なかなか台湾代表にも選ばれず、もう限界なのかなと思った時期もありました。
野球をやめかけた時、周囲の言葉に助けられた。
王 コーチや家族から、今、打てなくても仕方ない。自分を信じて頑張れという言葉をかけてもらって一念発起しました。
壁を乗り越え「大王」と呼ばれるまでになったが今年、また壁にぶつかった。昨年は日本からも多数スカウトが視察に訪れ、熱視線を集めた。だが今年は打率も3割半ば、本塁打は17と前年の31から半減した。マークが厳しくなったのか。
王 理由は分からないのですが、自分で決めたストライクゾーンに来た球には、どんどん食らい付くように考えています。
アピールポイントは「全部」と言い「打撃、守備、走塁、どれもぜひ注目していただきたい」と話す。今回のロッテとの親善試合では、ラスト3戦目で強襲の内野安打を2本放った。
最後に日本の好きなところを問われると、人懐っこい笑顔でこう答えた。
王 たくさんあるんですけど、おすしとラーメンが好きです。
謙虚で内気な人柄が印象的な大王は来季、どこで打棒を振るっているのだろうか。【鎌田良美】
◆王柏融(ワン・ボーロン)1993年9月9日、台湾・屏東県生まれ。中国文化大在学中の14年にU21ワールドカップ(W杯)優勝に貢献。15年ドラフト1位でラミゴに入団し、同年デビュー。初のフルシーズンだった16年はリーグ初の200安打、歴代最高の打率4割1分4厘、29本塁打、105打点、24盗塁をマークし、MVPなど6冠。昨季は打率4割7厘、31本塁打、101打点で3冠王。昨年2月、侍ジャパンとの壮行試合で楽天則本から中越え本塁打を放った。181センチ、90キロ。右投げ左打ち。