全30球団OKの姿勢で、30日間の交渉期間に臨む。西武菊池雄星投手(27)のポスティングシステム(入札制度)申請が今日3日、行われる。

今月中旬には渡米し、腰を据えて米国で年越しの予定だ。2日は岩手・花巻でトークショーと野球教室を実施。花巻東時代に3年間を過ごした地で、米メジャー挑戦を応援する声を多くもらい、パワーを授かった。

トークショーで司会者から希望地区など直球の質問をぶつけられても、菊池は慌てなかった。「どこでも、ですね」と、特に望みは口にしなかった。30球団OKの構えで、まずは入札を待つ。12月中旬に渡米し、本格的な交渉が始まる見込み。「期限ギリギリまで延びる可能性も頭に入れて、海外でトレーニングをする必要がある」と腰を据えて、年越しも米国の予定だ。

夢の実現へ着々と進むが、心は静か。「交渉ごとなので。30日間いろんな予測不能なことが起きると思う。一喜一憂することなく、自分のトレーニングをして、来年どこにいても結果を出して、またここに帰ってきたい」と決意表明した。

「ここ」とは、岩手のこと。故郷に帰れば自然とほおが緩む。「懐かしいですね」。会場は母校・花巻東のすぐ隣の体育館。「アメリカでも頑張って!」。「活躍、期待してます!」。温かい声がひっきりなしに飛んだ。メジャー挑戦が決まってからは初めての里帰り。「予想以上に皆さんに声をかけていただいて。アメリカで活躍しなきゃ、と思いました」とパワーをもらった。

オフに岩手で活動を続けるのは「野球人口が減っている。岩手の野球界への恩返し」。原点を大事にする気持ちは海を渡っても変わらない。壇上で夢のいきさつも披露した。高1の冬、野球部の佐々木監督に呼ばれ、将来の目標設定をした。「目指すなら、高卒からメジャーに行きたい」と定めた。あれから11年。紆余(うよ)曲折を経たが、いよいよ、正式な手続きがスタートする。【古川真弥】