あるぞ大谷超え166キロ! ソフトバンクは6日、福岡市内で新入団選手発表会見を行った。支配下7人、育成4人の11人が新たに仲間に加わった。ドラフト1位の東洋大・甲斐野央投手(22)はアマ球界最速の159キロを引っさげプロ入り。大谷(エンゼルス)が日本ハム時代にマークした日本球界最速の165キロ超えにも意欲満々。自慢の武器にさらに磨きをかけ「直球で客を呼べる男」になる。

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マウンドよりも緊張した。甲斐野は「今まで付けたことがない」という背番号20を背負い、工藤監督の隣に座った。新人11人の先陣を切ってマイクを握り「いち早くチームの一員になれるよう、全力で頑張ります」。顔を赤らめながらも堂々と、ストレートに、力強い言葉で話した。

武器は最速159キロの直球だ。「球速にはこだわりがあります。バッターをストレート、気持ちでねじ伏せていくのが目標」。忘れられない感覚がある。8月、神宮で大学日本代表として高校日本代表と対戦。相手打者は中日入りした大阪桐蔭・根尾だった。「指にかかった感じはありました」という1球に球場がどよめいた。球速は158キロが表示されていた。「盛り上がってくださったので、うれしかった」。うなずきながら、振り返った。

夢は大きい。「160キロ出せたらうれしい。出るところまで出せたら。(大谷の165キロ以上も)出したい気持ちはある」と描く未来は青天井だ。思い描くのは幼い日のヒーローの姿。兵庫県出身で小学生の頃は阪神ファン。「JFKの藤川球児さんに憧れていました」。直球1本でファンを喜ばせる「火の玉ストレート」を頭に浮かべながら「魅力のある選手になりたい。愛されるような選手になりたい」と言い切った。

当然、追い求めるのは速さだけではない。「(球速が)出ても打たれたら意味がない」。「常時156~157キロを出せるように」。憧れる藤川のように「低いと思ったらストライクみたいな」という質の高い166キロが理想だ。まず狙うのは「新人王」。東洋大、大学日本代表でも抑えを務め、リリーフでの活躍を思い描く右腕は「新人王を取るためには1軍定着。試合に投げないといけない」。サファテ、森、岩崎、加治屋ら12球団屈指のブルペンに割って入り、夢の速球王になる。【山本大地】

◆甲斐野央(かいの・ひろし)1996年(平8)11月16日生まれ、兵庫県西脇市出身。小3で野球を始め、東洋大姫路では主に三塁手で、東洋大で本格的に投手に転向。4年からは抑えで、春は胴上げ投手。185センチ、75キロ。右投げ左打ち。