北の大地で12球団ジュニアトーナメントが盛り上がっている。聞きつけた新人の久永壮真記者が27日、札幌ドームで開幕した同大会に潜入した。これまで西武森、楽天松井、阪神高山らプロ野球選手37人(育成、今秋ドラフト含む)が出場し、元プロ選手の子どもも少なくない。始球式を務めたロッテドラフト1位の藤原恭大外野手(18)や中日同1位の根尾昂内野手(18=ともに大阪桐蔭)も活躍した舞台に迫る。

ヤクルトの2番手で宮本恭佑投手(6年)が登板した。「ヤクルトで宮本」。気になりスタンドをのぞくと「吐きそうだよ。試合に集中できない」と、いつもの冷静な姿とは違う宮本慎也ヘッドコーチがいた。恭佑は、姉2人の後に生まれた待望の長男。「お父さんの親(祖父母)とかも『よく努力してた子』と言っていたので、お父さんのように自分も努力してできるようになりたい」と父の背中を追いかける。3回から3四死球も、最速115キロで2回無安打無失点。勝利投手に輝いた。

藤原と根尾も12年の大会で、バファローズジュニアとドラゴンズジュニアに所属した。藤原は「全国から選ばれた選手が集まって、レベルの高い試合だったので、次のステージにつながる試合ができた。この大きな舞台で試合をさせてもらったので、その自信が今につながっている」。小学生で経験した大舞台に感謝した。

設立理念が形になってきた。日本野球機構(NPB)の平田稔野球運営本部長は「プロへの夢、あこがれを身近に感じていただけるように」と第1回大会を開いた。言葉通り、多くのOBがプロへ進む現状ができた。その中でも「野球を楽しむことによって何か学んでいただいて、その後の人生に生かしてもらえたら」と期待する。プロと同じユニホームを着て、楽しそうに全力でプレーしている子どもたち。この中から何人が甲子園、プロに進むのか楽しみだ。【久永壮真】

◆12球団ジュニアトーナメント プロ12球団がセレクションを行い、小学5、6年生による16人以内で編成。監督、コーチは元プロ野球選手が務める。札幌ドームで開催され、両翼70メートル、中堅85メートルの位置にフェンスを設置。27、28日のグループリーグ(GL)は3チーム総当たりで、4チームが29日の準決勝、決勝に進出する。試合は7回制でボールは軟式。投手はGL合計および準決勝、決勝の合計で7回を超えて投げられない。第1回は05年で今大会は14回目。最多優勝は巨人と中日の3回。