退路を断ち、母校に帰ってきた。

東都大学リーグの駒大は7日、東京・世田谷の合宿所で今年最初のミーティングを行い、新任の林裕也コーチ(31)も参加した。「(学生と)年が近い。いい意味で、近くにいられたらと思います。それを持ち味にしたいですね。この年齢でしか、できないことなので。2カ月前までは選手だったので、選手目線で接していけたらと思っています」と決意を口にした。

駒大苫小牧では、田中将大(現ヤンキース)の1学年先輩。04年、05年と夏の甲子園連覇を果たした。駒大、東芝でも主将を務め活躍。昨春、駒大からコーチの打診を受け、「うれしかったです。いずれ指導者の道に、とは思っていましたが。まさか、僕に」。熟考を重ね、受諾。現役を引退した。

2児の父だが、高校の同級生でもある真里夫人(31)の理解も得て、東芝を退職した。コーチ業に専念する。「プレッシャーというか、不安の方が大きいです。ただ、東芝を辞め、自分なりの覚悟を持ってきたつもりです」と力強く話した。学生たちに伝えたいことを問われると「僕は東都でやってよかったと思っています。礼儀、人に対する接し方、かわいがられ方。社会に出て、絶対に生きる。この先、野球を続ける人の方が少ない。まだ未熟者ですが、感じたものを伝えていけたら」と答えた。

大倉孝一監督(56)は「林裕也の若さに期待します。コーチではあるけど、キャプテンのようにチームの中のリーダーとして。彼にしかできない」と、大きくうなずいた。就任3年目を迎える。1年目の秋に2部から1部昇格を果たし、昨秋は立正大と同率1位ながら優勝決定戦で涙をのんだ。目標の「日本一」へ、有望な右腕を手に入れた。【古川真弥】