巨人原辰徳監督(60)が「言葉の力」でチームを前に進めていく。
18日、都内で行われたスタッフミーティングに出席し、山口寿一オーナー(61)ら球団首脳も集結する中で、5年ぶりリーグ優勝、7年ぶり日本一に向けて一致団結する姿勢を宣言。キャンプ1、2軍の振り分けを行い、投打各セクションの課題などを協議した。キャンプメンバーは21日に発表される。
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原監督が2、3軍監督を含む総勢29人のコーチ陣に加え、球団フロントや編成担当、営業担当らも集まる“オールジャイアンツ”の前で呼び掛けた。
「ジャイアンツのスタッフは、今日来た人たちが中枢。我々は大きな役割を持ち、大きな仕事をする。それは勝つこと。そしてファンに愛されること。それに対して、1人1人が全力で立ち向かっていきましょう」
午前10時から3時間半を超えるミーティングでは、キャンプメンバーの振り分けやチームの課題、方針などを話し合った。「非常に緊張感がありました。特に今年の体制は、フロントも現場も同じ考え方を持ち、同じ目標に向かっている。1つ1つの言葉を私も含めて全員が深く、今日の気持ちを今シーズン最後の最後まで持ち続けるということを強く思ったミーティングだったと思いますね」
V奪還を託され3度目の監督就任を決断した。FAで丸、炭谷を獲得するなど大型補強を行いながら「若い選手がキャリアを持った選手に挑めるよう、後押ししたい」と若手の台頭も望む。ドラフト1位の高橋優貴投手(21=八戸学院大)は、順調なら1軍キャンプメンバー入りが有力。育成に取り組みながら、かつての監督時と同様に攻撃は4得点以上、3失点以内の戦い方を基本に据える。
2月11日までの宮崎キャンプでは3試合の紅白戦を予定。3連覇中の打倒広島が最大の目標になるが、今は必要以上に意識はしない。「まだ相手を見るというよりは、自分のチームをどういう風に戦う『軍』にするか。私自身を含めて、ジャイアンツというチームをしっかりつくる」と言った。【前田祐輔】
原監督のスタッフ会議語録
<第1次政権>
◆02年 「練習のための練習はしない」(V奪還へのキャンプ改革第1弾。宮崎キャンプで異例の連係プレー中心の朝練を行うことを表明)
◆03年 「ケガ人が出たことが反省材料。コーチ、トレーナー、医師と一体となってケガ人を出さないようにしていく」(V9時代以来となる連続日本一達成へのポイントを挙げて)
<第2次政権>
◆06年 「実戦形式の練習を多くする予定です。いよいよ目標に向かってスタートを切りましたね」(投手は初日からブルペン入りし、選手全員のスパイク着用が義務づけられ、早朝に体操を実施することを決めた)
◆07年 「ナメられてはいけない? 戦いですから当然。伝統や歴史を守りつつ、攻めるべきところはガムシャラに攻めていく」(4年連続V逸。滝鼻オーナーのゲキに)
◆08年 「我々の目的は1つ。選手の力を100%引き出し、ファンに心から喜んでもらう。目標はリーグ連覇と日本一。それを再確認した」(滝鼻オーナーのゲキに応えて)
◆09年 「大型補強がない。いかに選手がレベルアップするか。2月1日に、ファイティングポーズを取った状態でスタートして欲しい」(競争色を押し出すキャンプ方針を示す)。
◆10年 「プロ野球の世界は過去の実績も、年が明ければ横一線のスタートになる」(前年に続くサバイバルキャンプを示唆)
◆11年 「4人には個人的な時間で調整してもらう。S班を除いた野手40人のうち、20人を1軍。Sはスペシャルか、シルバーか…、スペシャルということで」(ラミレス、小笠原、高橋、谷のベテラン4選手を『1軍S班』として、キャンプ別メニュー調整に)
◆12年 「我々は足元を見て、10というのも、まず1がないと。1というものをしっかり見据えた状態で戦う」(過去2年はV逸。奪還を厳命するオーナーの言葉を受け止めて)
◆13年 「過去2度の日本一の後は、横一線、新たなスタートだと、選手に伝えてきた。でも2013年はこの考えを一変させようと思う。去年、我々はギリギリで勝った感覚だが、周囲は巨人には完敗したと思っていると思う。研究され、マークされている。これは横一線とは言えない。全チームが『打倒巨人』で来ることを意識して戦っていこう」(V9以来の連覇を目指し、まずは意識改革に着手した)
◆14年 「12、13年は素晴らしい年だったが、最後に勢いが止まった。また勢いをつけるには相当なエネルギーが必要で至難の業でもある。心して戦っていかないと」(前年はリーグ連覇を果たしたが、日本一連覇をあと1勝で逃し)
◆15年 「プラスとマイナスでゼロ…という計算はしないでくれ。欠点を考えず『この教えに関しては、オレが日本一だ』という指導をしてくれ」(日本一を奪い返すため、コーチ陣へ向けて)