新人王へ、相棒を特注した。ヤクルトの村上宗隆内野手(18)が28日、提供を受けているミズノの岐阜・養老町にあるバット工場を訪れた。外では雪が降る中でティー打撃や素振りを繰り返し、イチローのバットも手がけるバットクラフトマン(職人)の名和民夫氏(51=ミズノテクニクス)と約2時間、試行錯誤を重ねた。

次々と要望を出し、目の前で名和氏が削ったバットを振った。「グリップを細くしてほしい」「ヘッドを利かせたい」。チームメートの青木がメジャー時代に使用していたモデルをベースに、グリップを細くするなどアレンジを加えた。長さ34インチ(86・36センチ)、重さ約880グラムが第1候補。1軍の初打席で初本塁打を放った昨季モデルよりも0・5インチ長く、ヘッドはくりぬき、高めの速球に対応できるように重さも調整しトップバランスに。キャンプ中盤に届く予定で「自分のほしい形にすごく近づいた。野球選手の商売道具なので、来てよかった」と納得。名和氏は「ロングヒッターの典型的な形。長距離(打者)の方に好まれる形です」と説明した。

今オフは、青木の米国ロサンゼルスの自主トレに参加。寝食を共にし、ケアから体の使い方まで、青木のプロフェッショナルを追求する姿を学んだ。「青木さんと一緒にできて、いい経験をさせてもらって、感謝の気持ちです。恩返しは、今シーズンの活躍。気合を入れて頑張ります」。師匠モデルのバットで、神宮に快音を響かせる。【保坂恭子】