楽天3年目の右腕・西口直人(22)が、下克上で先発ローテ入りを狙う。久米島キャンプは6日、第2クールを迎えてアピールが激化。チームの先陣を切ってフリー打撃に登板し、オコエ瑠偉外野手(21)に本塁打を打たれたものの、重視した外角直球には手応えを得た。16年ドラフト10位で12球団最後(育成を除く)の指名。キレのある最速149キロの直球と変化球を武器に、信頼を勝ち取る。

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西口がキャンプ“開幕投手”に指名された。フリー打撃で、まっさらなマウンドへ。「直球を右打者から見た外角に確実に投げられるかだけを意識した。抑えることは考えずに7割くらいの力で。真っすぐの感じは良かった」。オコエ、卓丸外野手(22)に対して、25スイング中、安打性の当たりは8本。4本塁打は打たれたが、自身のテーマには納得の表情だった。

プロ2年間は、股関節の硬さもあって、ケガが多かった。所属した甲賀健康医療専門学校での体や筋肉の知識を生かして解消。平石洋介監督(38)に2軍での活躍と素質を見込まれ、昨年9月30日のオリックス戦(楽天生命)に抜てき。初登板初先発ながら7回2/32失点好投で、実力を証明した。「今年は勝負の年。開幕ローテをつかまなければ、野球人生が終わる気持ちでいる。もう甘い目で見てはもらえない。規定投球回数が目標」。2日のブルペン投球でも嶋基宏捕手(34)から「かなり良い球が来てる」とお墨付きをもらった。

キャッチボールから意識を変えた。“師匠”は昨オフから自主トレで弟子入りした中日吉見一起投手(34)。「相手の胸に投げる意識でなく、ライン(線)を決めてそこに投げる助言をいただいた。そのフォームで高低はブルペンで修正する」。助言のメッセージも届く。技術はもちろんだが、周囲への気遣いや接し方にも見習う点が多く、収穫は多い。

本格的に投手指導を受けたのは専門学校時代。伸びしろも期待され、ドラフト10位で滑り込んだ。同期入団の9位高梨雄平投手(26)は、すでに左キラーの地位を確立。「ドラ1の藤平(尚真)も先発争いをしていますし、同じ世代には負けたくない」。初の1軍キャンプで結果を出し、則本昂や岸に続く存在に名乗りを上げる。【鎌田直秀】