オリックス宮内義彦オーナー(83=本社シニア・チェアマン)が9日、ナインに厳しいゲキを飛ばした。宮崎キャンプを視察。「選手生活が今年が最後だと思ってやる覚悟がないと、キャンプも意味はありませんよ」と厳しい表情で訓示した。チームは4年連続Bクラスで、リーグ優勝も96年が最後。同じ気持ちでは、今年も同じ結果になると案じる宮内流の愛のムチだ。

オリックスナインの背筋がピンッと伸びた。午前中に降り続けていた雨がやんだ午後1時。球場の右翼付近に関係者一同が集結した。宮内オーナーによる約5分間に及ぶ訓示。選手の表情は引き締まったままだ。 「とにかく、このキャンプで1段上げるべきものをきっちり手に入れてもらわないと。みなさんの選手生活が今年が最後だと思ってやる覚悟がないと、キャンプも意味はありませんよ」

チームは4年連続Bクラスに低迷。リーグ優勝もイチローらを擁し、「頑張ろう神戸」を合言葉に日本一に輝いた96年を最後に22年間も遠ざかる。今年も同じ気構えでは、また同じ失敗を繰り返す。優勝なんて夢のまた夢だ。本気で優勝を目指すなら、個々が自分自身を厳しく律して追い込み意識を変えるしかない。「あんまり甘いことを言ったらいかんので、かなり厳しい話をしときました」。キャンプも中だるみが起こる中盤。総帥のゲキは、空気の強烈な引き締めだった。

西村監督とナインも表情を引き締めた。指揮官は「もっともっと練習をやらなければいけない。結果を残してということしかない」とキリリ。T-岡田は「厳しい言葉をいただいた。シーズンで結果を残せるように頑張りたい」と決意を新たにした。

早速カツが効いたのか、練習を見守った宮内オーナーは「非常に競争が激しいチームになったなあという印象ですね。(若手の)鋭さが出てきた。ピッチャーも打つ方も」とにんまり。10日には「御前試合」で19年初実戦の紅白戦が行われる。「ここで本当に若い選手が意外感(意外性)を持つような活躍をしてほしい」。目の色を変えた激しいアピール合戦を期待。果たしてナインは総帥を喜ばせる結果を出せるか。それともカミナリか。注目のゴングが鳴る。【古財稜明】

 

<宮内オーナー過去のキャンプ視察での辛口発言>

▼野球を勉強(15年)「昨年までは優勝と言ってきたけど、それもむなしいので」と優勝宣言を封印。代わりに「1つ目は開幕にベストに持って来られるように。2つ目は野球を勉強してほしい」と要望。

▼年俸分働いて(16年)約3時間半の視察後「不調だった人が復調して普通にやってくれたらいい。年俸の高い人から順にね。それだけの価値を表してもらってね」と、前年に大型補強しながら5位に終わったチームを叱咤(しった)した。

▼クレイジーに(17年)「試合は勝つためにするもの」「勝利にかける思いを強く持て」などと約5分間、グラウンドで選手らに“公開説教”。さらに「最下位のうちが順調(なキャンプ)ではまた今年も最下位になる。順調ではいかんのです。クレイジーなキャンプをやらないかん」と強烈なメッセージを発信。