2軍キャンプで調整を続けてきた巨人上原浩治投手(43)が、開幕1軍へ着実に前進した。1日、川崎市のジャイアンツ球場でブルペン入りし、9日の教育リーグ・ロッテ戦(ジャイアンツ球場)で今季初の実戦マウンドに上がることが濃厚になった。感染症「エーリキア症」を患いキャンプ不参加だったスコット・マシソン投手(35)も来日。チームの課題に挙がるブルペン陣の柱として期待される両右腕が、それぞれの覚悟をにじませた。

  ◇    ◇    ◇

人影の少ない肌寒い室内練習場のブルペンで、上原は汗を飛び散らせた。スムーズに左足を上げ下げし、投球後はマウンド前方に跳びはねるようにフォローをとった。力強い直球を10球投じた後、宝刀スプリット、スライダーも試投。その後、小谷巡回投手コーチから助言を受け、中腰のブルペン捕手へ追加で11球を投げ込んだ。「小谷さんにキャンプから聞きながらやっているので、今日はどういうフォームだったかを聞きながらできました」と充実感をにじませた。

状態は右肩上がりだ。昨年10月にクリーニング手術した左膝は「もうほぼ気にせずにやっていますけど」と良好な状態を強調。日本では11年ぶりの春季キャンプは2軍で鍛錬を積み、フリー打撃には4度登板した。打ち上げ前日の2月25日にはブルペンで109球を投げ込んだ。順調に調整を重ねれば、9日の教育リーグ・ロッテ戦(ジャイアンツ)での今季初の実戦登板を見据えている。

開幕1軍への光も見えている。昨季20敗を喫した救援陣はチームの課題の1つ。新外国人の守護神候補クック、今季からリリーフに専念する吉川光が中心を担うが、守護神争いをしていた沢村が先発に転向。大江、桜井、鍬原ら若手が躍動するための支えとしても、来月3日に44歳を迎えるレジェンド右腕の経験が必要となる。

原監督は、開幕に照準を合わせた調整を「非常にいい方向に行っているのではないかと見えている」と尊重する。オープン戦では中継ぎ陣の登板機会を増やす方針で、上原も「僕はいつでも行けますよ」と実戦登板へ意欲十分。歓喜のハイタッチの瞬間を心待ちにし、歩みを続ける。【桑原幹久】

 

◆巨人救援陣の現状 宮本投手総合コーチは2パターンの勝利の方程式の構築を目指しており、守護神は新外国人のクックが筆頭候補。今季からリリーフに専念する吉川光や、若手からは今春実戦で20人の打者を完璧に抑えた3年目の大江をはじめ、5年目の戸根、4年目の桜井、2年目の鍬原、育成3年目の坂本工が1軍キャンプでアピールを重ねた。2軍には森福、田原、高木、宮国、池田、中川、アダメスらが1軍を目指して控えている。