体調不良のため来日が遅れ、春季キャンプ不参加の巨人スコット・マシソン投手(35)が1日、米国から成田空港に来日した。

集まった報道陣の取材に応じ、神妙な表情で「『エーリキア』というバクテリア、細菌が入って、感染症になってしまった」と病状の詳細を説明。苦しい闘病生活を明かした。

昨年11月、友人の誕生日会に参加中に体調不良を訴えた。40度近い高熱や悪寒が続き、病院で検査。肝機能の数値が低下し、薬による治療が進まなかった。担当医師の1人からはがんの疑いも挙げられ、腫瘍有無の検査のため、リンパ節の除去手術をクリスマスに行った。「家族にも話せなかった。そこが一番つらかった時期。子どもにとってもクリスマスの時期でもあったし、つらい状況を見せたくはなかった」と不安を抱え込んだ。

幸い検査結果はガンではなかったが、48日間にわたって入退院を繰り返し、抗生物質による治療や点滴で体重は約11キロ落ちた。12月の1か月間は一切トレーニングを行えなかった。

現在では検査に異常はなく、体重もほぼ戻っている。大事をとり、シーズン中も血液検査を定期的に行う予定。治療が進んだ1月中旬からトレーニングを再開し、遠投ができるまで進んでおり「肩、肘の調子はすごくいい」と手応えを示した。昨年シーズン途中に帰国し、手術した左膝の状態を含め「去年の今頃と比べると弱っている。膝の状態もありますし、筋力の改善も含めて上げていきたい」と見据える。

実戦復帰のメドについては「6月までに復帰できなければ、自分の中で残念な結果であり、自分に失望する。6月だと遅すぎる。もちろんチームの方針というのもありますし、自分の中では最短で戻れるための準備をしたいと思っている」とイメージを描いている。

常に心の中には「ジャイアンツ愛」がある。指揮官は原監督に代わり、広島からFA移籍の丸など新しい顔ぶれも増えたが「ジャイアンツのことを考えながら過ごしていた。素晴らしい補強をされたし、去ってしまった人となかなか会えないというのも悲しい部分もあるんですけど、原監督が戻られて、これからもチームの一員として貢献できればなと思っています」。闘病中には「自分の体調が良くなかったので、連絡はなかなかできなかったが、その中でもヤングマンや長野さんと連絡はしていた。長野さんは移籍した時にメールをしたよ」と周囲の気づかいにも支えられた。

「オフがすごく長く感じられたし、もどかしい気持ちもあったんですけど、ここから新しいスタートを切る気持ちでいます。自分の体調が完璧に戻るまでチームメート、外国人選手を応援することが自分の仕事。チームの一員として、優勝に少しでも役に立てるように頑張っていきたいと思います」。来日8年目のシーズンへ、力強く復活を誓った。【桑原幹久】

◆エーリキア症 マダニによって媒介される感染症で、発熱、頭痛、貧血、白血球減少などを起こす。病原体は人間だけではなく馬や羊、犬などの動物にも感染するため、動物も感染経路の1つと考えられている。米国を中心とした報告例が多く、発症すると発熱や悪寒などインフルエンザに近い症状が出るという。