貫禄の甲子園デビュー! FA加入の阪神西勇輝投手(28)が移籍後初めて甲子園に登板し、3回1安打無失点、3奪三振。わずか25球で巨人打線を料理した。「神整備」として知られる阪神園芸とも話し合い最良のマウンドが完成。先発が予想される開幕カード3戦目、3月31日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に向けて順調な仕上がりだ。

   ◇   ◇   ◇

西が甲子園デビュー戦で真骨頂だ。初回に先頭の田中俊を見逃し三振に仕留めると、2番坂本勇からはスプリットで空振り三振。その後もテンポのいい投球で計3奪三振。3回には陽岱鋼に中前打を許したが、炭谷を外角スライダーで併殺。「満足出来るボールと、そうでないボールがはっきりしていた」。求める基準が高いだけに登板後に笑顔はなかったが、さすがの投球術だ。

本拠地が好みの「西マウンド」に仕上がっていた。今季から甲子園のマウンドがメジャーのように硬くなった。粘土質の黒土「ブラックスティック」を使用。マウンドの硬化により、昨季まであったプレート前に埋め込まれたゴム状の板(第2プレート)を取り除くことが検討されたが、西らの要望により継続が決定。極端にプレートの一塁側に立つ西は、6足半~7足と大きく左足を踏み込む。誰もが到達しないその領域もスパイクがかみやすいように整備された。

この日の甲子園は開門が遅れる悪天候だった。それでもグラウンドを整備する阪神園芸は打ち合わせ通りにマウンドを完成。西は「いい状態のまま自分が立ちやすいようにしてくれたので感謝です。いい感じで開幕迎えられる」と何度も感謝の言葉を口にした。チームが倉敷で試合をしていた8日も残留組で甲子園のマウンドをチェック。何度も議論を重ねてきた同社の金沢健児甲子園施設部長は「彼はコミュニケーション能力が高い」と評した。

矢野監督は「本当に言うことないんじゃない。どれが西の一番というか、俺もまだ把握できていないけど、今日の投球は勝てる投球内容」と目を細める。順調にいけば、残りのオープン戦に2度登板して、31日ヤクルト戦に向かう。快投をみせた西だが「まだオープン戦なら細かいところまで反省できる。シーズン入っていけば結果しかないので」と表情を緩めることはなかった。どこまでも頼もしい。【桝井聡】