楽天辛島航投手(28)の淡々とした語り口が、にわかに熱を帯びた。「僕は死ぬまで忘れることはない。胸に刻んでやっていく」。11日で東日本大震災から8年。先発を予定する12日のDeNAとのオープン戦に備えて静岡・草薙球場で調整し、練習後は福井、弓削とともに東北地方の方角を向いて黙とうをささげた。

青山、嶋、美馬、銀次、戸村、塩見、そして辛島の7人。11年から在籍する現役選手も少なくなった。練習前、8年前は広島の新人だった福井に当時のことを聞かれていた。地震発生時はオープン戦で明石にいた1軍に対し、仙台でリハビリ中だった。「僕より大変な思いをした方はいっぱいいる。簡単なことは言えない」とした上で「8年後とか、野球をやるとかも考えられなかった」と言った。

「自分は野球しかできない。野球で結果を残すしかない。結果として仙台、東北が盛り上がるように」。新たにした誓いとは別に、もう1つの思いが宿る。この日、同い年で一緒に自主トレも行う則本昂が右肘のクリーニング手術を受けることになっていた。「ノリが万全で帰ってくるまで、1人1人ができることを精いっぱいやる」。エース不在のローテを支える活躍が、東北の歓喜にもつながる。【亀山泰宏】