新潟医療福祉大の卒業式が13日、新潟市の朱鷺メッセで行われ、オリックスの育成1位ルーキー・漆原大晟投手(22)が出席した。プロのキャンプを経験し、実戦にも登板するなど着実にステップアップ中。学生生活を終え、プロとしての春に備える。J3のSC相模原のルーキーMF上米良柊人(かんめら・しゅうと=22)、バレーボール女子V1のKUROBEに入団した白岩蘭奈(22)ら同大が誇る各種目のトップアスリートも旅立ちのときを迎えた。

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学生生活最後の日に、漆原が栄誉を手にした。健康スポーツ学科224人の中から学長賞の授与者の1人に選ばれた。ともに受賞した白岩、昨年のインカレ陸上男子走り幅跳び優勝の長谷川直人(22=新潟アルビレックスRC)、インカレ水泳男子100メートルバタフライ優勝の水沼尚輝(22=新潟医療福祉大大学院)、なでしこリーグの新潟レディースからなでしこ3部のNGUラブリッジ名古屋に移籍した瀬倉春陽(22)とともに、西原康行学科長(51)から表彰状を授与されると笑顔を見せた。

他競技の仲間たちと並んでたたえられての卒業。「いよいよこの日を迎えられた。別々の道に進むけど、同級生たちと一緒に1歩を踏み出すことができた」。2年生の関甲新学生野球秋季リーグで11連続奪三振のリーグ記録をマークするなど、学生球界の注目選手だった。そして昨秋のドラフト会議でオリックスに育成1位指名を受けた。そんな活躍が優秀な課外、社会活動として認められた。

12日に新潟入りし、式後には飛行機で大阪にとんぼ返り。そんな慌ただしさは順調にプロとしての歩を進めている証し。9日のソフトバンクとの教育リーグでは3番手として1回を投げて1奪三振無失点。最速151キロ右腕は、育成入団ながら若手の有望株として期待されている。2月のキャンプでは日本ハムのトレーナー時代にエンゼルス大谷、カブスのダルビッシュらを指導した中垣征一郎トレーニングアドバイザー(49)の指導を受けた。「フォームのばらつきがなくなり、球に力が出てきた」と実感が出てきた。

新潟医療福祉大の佐藤和也監督(62)は「チャンスをつかむために、いい準備をしてほしい」と言葉を送った。育成から支配下選手に昇格できるのは7月31日まで。漆原は目標をそこに置く。「ただ、意識しすぎないようにする。ケガをせずに1年を過ごすこと」。手ごたえがあるから焦りもない。卒業記念の色紙には"挑戦"と書いた。学生から社会人への区切りの日、プロで生き残るための決意を新たにした。【斎藤慎一郎】