開幕投手を務める2人が、日本球界最高峰の投手戦を展開した。ソフトバンク千賀滉大投手(26)は7回を88球で1安打無失点。巨人菅野智之投手(29)は、6回を68球で内野安打2本の無失点に抑える貫禄の投球をみせた。17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でチームメートとして戦った両右腕の実戦での初めて投げ合い。大役に向け、万全の調整ぶりを見せつけた。

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2年連続開幕投手を任されている千賀は7回2死まで完全投球を見せた。21人目の打者、丸に遊撃への緩いゴロを打たれ内野安打を許したが、続く4番岡本の5球目に捕手甲斐がキャノンを発動し二盗を試みた代走立岡を刺した。7回を88球で1安打無失点。「感覚とかよかった」と開幕まであと2週間で、エースらしい安定感を発揮した。

相手は17年WBCなど侍ジャパンでエース格の菅野。「ベンチから見ていて、すごいなという一言では片付けられないくらい刺激をもらった。投げていてミスが少ないし、(捕手の)構えから逆にもいかない」。千賀は、その高い制球力を改めて目に焼き付け「自分も付いていきました」。菅野も5回まで完全投球という高次元の投げ合いとなり、工藤監督も「意識するでしょう。お互いに(先に)1本打たれたくないと思って投げていたと思う。すばらしかった」と絶賛した。

今季新しい武器にしようとしているツーシームも多投した。5回には中島にその148キロで内角をえぐり、バットをへし折る二ゴロ。「たくさん放ったが、いい感じで打者に投げて収穫もあった」と笑った。前回8日の教育リーグ・オリックス戦ではツーシームを投げる影響で、他の球種のフォームが乱れたが「今日は力感はなかったが、フォームがしっかり、いいバランスで投げられている」と課題も修正できていた。

2月26日の練習試合楽天戦の2回2失点を最後に、3月の3試合で15イニング連続無失点。工藤監督も「信頼感もより高まってくる。ここまで大きく乱れることなく、いい調整ができている」と安心している。17年のWBC出場時は侍ジャパンでも所属チームでも先頭に立つ気持ちはなかった千賀が、今季はエース、柱として自覚十分だ。【石橋隆雄】

◆17年WBC準決勝米国戦VTR 菅野が先発し、千賀は2番手で登板。菅野は4回に先制点を許すも、6回3安打6三振1失点(自責点0)の好投を見せた。千賀は1-1と追い付いた7回から登板。7回は3者凡退に抑えたが、8回1死二、三塁から2番A・ジョーンズの三ゴロを松田がファンブルしてしまい決勝点を献上。2回を投げて4連続を含む5三振を奪うも、負け投手となった。

▽ソフトバンク王球団会長(菅野と投げ合った千賀の投球に)「2人とも貫禄の投球だったね。開幕投手らしい内容だった。やはり投球がいいと打者は打てないね」

▽巨人原監督(千賀について)「1つ1つ精度が高く、パワーもある。右打者はツーシームが厄介。もちろん真っすぐもフォークもいい。素晴らしいピッチャー。ああいうピッチャーを育てないといけないね」

▽巨人坂本勇(千賀に)「すごい球を投げていましたね。あれだけの球を開幕前に見ることができてよかったです」

▽巨人岡本(千賀に)「真っすぐがすごく速かったです」