日本ハム大田泰示外野手(28)がロッテ戦(ZOZOマリン)の4回に、豪快なスイングで5号ソロを放った。12球団トップのオープン戦9戦5発。突き抜けるアーチ数を生み出すポイントの1つは、バットが地面に擦れるほどの極端に大きなフォロースルーにある。日本人離れしたパワーを生かす「ローフィニッシュ」を会得した貴重な右の長距離砲が覚醒する。

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大田の打球は角度よく左中間スタンドへ向かった。反比例するように、最後は左手一本で振りきったバットの先端は、打席内の土を削った。4回1死無走者。脱力した、それでも力強いアッパースイングで放った5号ソロ。地面に着くほどのフォロースルーとなった一振りについて「キレイに振れていると思います」。目指す打撃の形を体現しながら、着々と結果を積み上げている。

好調を継続させているポイントの1つが、バット軌道へ対する意識だ。「弧を大きく描くイメージ。力感なく、バッティング練習みたいに飛ばすという感じです」。打球を捉えたインパクトの後も、最後まで大きなスイングを心がける。現代の日本人打者では希少な存在。楽天浅村、オリックス吉田正らが同タイプで、過去には王(巨人)門田(ダイエー)ら強打者の系譜に連なる。

豪快でも理にかなったスイングだから結果を出せる。金子打撃チーフ兼作戦コーチは「しっかり軸で回りきっている。見逃しの中でも、スイング中も、スイングが終わってからも、両足、両膝の中に上体がある。だから、あそこまで回り切れている。後ろに重心が残りすぎたり、体が前に折れたりすると、無理。ああいうフォローで終われることは状態がいいから。今なら大田泰示か(メキシコ代表でオリックスの)メネセスか」と説明した。

オープン戦9戦5発に加え、打率もトップの5割2分。大田は「まだまだピッチャーが本調子じゃないので。コーナーに投げられたら簡単に打てない。打撃に関しては満足していない」と冷静だが、突出した数字を裏付ける根拠を持っている。キャリアハイは17年シーズンの15本塁打。打席内の土を削るほど大きな弧を描くバットのように、軽く自分を超えていく予感が漂う。【木下大輔】