阪神鳥谷敬内野手(37)がDeNAとのオープン戦に「1番遊撃」で出場し、存在感を示した。初回、いきなり背番号1が飛び込んだ。二遊間に転がる鋭いゴロへ、懸命にダイブ。届かなかったが、ひたむきな姿勢には、鳥谷の意地が詰まっていた。打って、走って、飛んで-。プロ16年目を迎える37歳が、全力プレーで自らの定位置を取り戻そうとしている。

「どんな形でも、しっかり準備して対応できるようにしたい」

バットでも見せた。3回の第2打席。外角高めにきた142キロシュートに反応。きれいに流すと、打球は三塁線を抜けた。一塁ベースをまわったところで、クールに打撃手袋を外すと、表情が少し緩んだ。5回無死一、三塁の打席では二ゴロ。併殺崩れの間に1点をもぎ取った。足も衰えていない。直後の3球目。果敢にスタートを切り二盗に成功した。

矢野監督は「ヒットも打って、いいタイミングで盗塁もしてね」と褒めた。さらに指揮官は「シーズンに入って、トリの力は必要になるはずやから。今、ショートでは木浪が調子よくやっているけど、シーズンに入っても、ずっと競争は続くと思う」とも。状況的にはバットで結果を残し続けているドラフト3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)の開幕スタメンが有力視される。だが、どのオーダーであれ、開幕戦だけで競争が終わるわけではない。遊撃ポジション争いの激化の気配が漂う。

鳥谷は、一回り年齢の違う新人とのポジション争いにも、表情は明るい。自らが目指した場所を決して諦めていない。【真柴健】