阪神矢野燿大監督(50)がプロ16年目で初めて開幕スタメンを外れる鳥谷敬内野手(37)の「遊撃先発」構想を温める。26日は京セラドーム大阪で行われた練習を指揮。今季プロ16年目で、球団最多2066安打を誇る好打者の起用法について言及した。開幕直後は試合の勝負どころで代打起用する方針だが「切り札」に固定せず、遊撃レギュラーで起用する可能性も示唆。長丁場のシーズンで競争をうながしていく。

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ベテラン鳥谷のマルチ起用でチームを底支えする。オープン戦最終戦の24日オリックス戦後、矢野監督が開幕布陣を明言。2月の沖縄・宜野座キャンプから鳥谷も志願して遊撃レギュラーを競ってきた。「3・29」こそ、気鋭のルーキー木浪聖也(24=ホンダ)に先発を譲るが、指揮官は長丁場のシーズン中も競争をうながす。プロ16年目の鉄人に矢野流のエールだ。

「途中で鳥谷だってレギュラー取るかもしれんし。いまから『代打でいいところで打ってくれよ』と俺らが決めることは何もない。鳥谷自身がショートでスタメンで出るっていうことを考えていると思う」

開幕に照準を合わせ、3月下旬以降、調子を上げてきた。オープン戦打率3割8厘が充実ぶりを物語る。スイングは鋭さを増し、打球の強さも取り戻した。20日ヤクルト戦は代打で右中間二塁打を放つなど、健在ぶりを見せつけた。自身の開幕スタメンは新人だった04年から15年連続で途切れるが、準備に抜かりはない。

オープン戦は代打で快音を連発したこともあり、勝負どころの「切り札」にも見込まれるが長期戦を見据える指揮官の考えは違う。

「それも決めなくてええんちゃうの。チームのなかで立ち位置とかファンの期待や、開幕でいえば、いいところで代打というようなことになるけど、それを何も決めつけてない。『今シーズン、鳥谷は代打の切り札で頑張ってくれよ』なんて全然、思っていない」

開幕後、まずは勝敗を左右する場面でのピンチヒッターに指名するが、起用法を「代打の切り札」に限定しない。遊撃は木浪、24歳北條と若手が有力だが確固たる地位を築いていない。チーム事情に応じて、虎党も慣れ親しんだ「ショート鳥谷」スタメンも視野に入れる。阪神を支える鉄人はチームに欠かせない重要なパーツだ。【酒井俊作】