日刊スポーツ評論家陣によるペナントレース順位予想の第2日は、パ・リーグ編です。昨年リーグ優勝は逃しながら、2年連続の日本一となったソフトバンクが満場一致で優勝候補。選手層の厚さ、個々の力などから本命に据えています。対抗には、佐々木主浩氏(51)が補強の的確な日本ハム。谷繁元信氏(48)里崎智也氏(42)は打力の西武を挙げました。


評論家10人がペナント大予想/セ編

3・29 プロ野球12球団開幕投手決定/一覧


佐々木主浩氏 日本ハム金子補強で逆転候補

<1>ソフトバンク <2>日本ハム <3>西武 <4>オリックス <5>ロッテ <6>楽天

佐々木主浩氏
佐々木主浩氏

パ・リーグでは日本ハムに注目している。常に良い補強ができているし、だれか他球団に出ていっても、だれかが代わりに出てくるというチームだから。17日のアスレチックス戦ではオリックスから移籍してきた金子が2番手で登板。4回3安打無失点、9奪三振という好投を見せた。

この金子の補強は大きい。上沢に続くローテーション2番手の投手を獲得できたのだから。毎年多くの選手が動く米国とは違い、このクラスの投手をすんなり獲得することはたやすくはない。金子がいつもアスレチックス戦のような緩急自在の投球をしてくれれば十分計算が立つ。日本ハムは優勝を予想したソフトバンクに次ぐ戦力というか、もしかしたら順位がひっくり返る可能性もあると考えている。

3位に予想した西武は、菊池雄星が抜けた穴が大きい。ドラフト1位松本航が良いと思っていたが、軽い肺炎のため療養することが発表された。復帰は5月の見通しだという。ローテ6番手を目指して競っている他の投手たちがどれだけ頑張れるかだ。

ダークホースはオリックスだと感じている。新外国人のメネセスは広角に打てる良い打者だし、全体的に攻撃力はある。ただ投手陣で金子、西が抜けたのは痛い。榊原、山本あたりが先発として台頭できるか。ロッテ、楽天は今年も戦力的に厳しい。楽天はドラフト1位で外野手の辰己を獲得したが、エース則本昂が右肘手術で離脱するなど投手陣が苦しい。


谷繁元信氏 西武浅村「穴」カバー可能

<1>ソフトバンク <2>西武 <3>オリックス <4>日本ハム <5>楽天 <6>ロッテ

谷繁元信氏
谷繁元信氏

選手の質、量、経験で言えばどうしてもソフトバンクが本命になる。ドラ1の甲斐野、出遅れるが2位の杉山はいい。マイナス要素は内川、松田と野手の年齢層が上がっていること。でもケガ人が1年、出なければ相当強い。

追う2チームに注目している。西武は浅村、菊池が抜けたが、それでも打線の破壊力はある。浅村の代わりはなかなか出てこないが、打点を1人5~10点、増やせば補えるし、できる選手がまだいる。秋山が3番に入り、源田も年々レベルアップしている。もともと力があるメヒアがDHでの出番が増えれば浅村の127打点の4分の3ぐらい稼ぐ可能性はある。辻監督の2年で3位、1位と勝ち方を選手も分かっている。歴史的に選手が流出しても、立て直してきたチームでもある。

実はオリックスは3年連続でAクラスに推している。金子、西の移籍はあるが力ある若手がアピールしようとプラスに働くのでは。先発転向の山本ら1人1人の素質は高い。メネセスが入り、外国人の競争も激しい。そして吉田正はしっかり前を打つ選手がいればソフトバンク柳田と3冠王を争える。3割30本100打点を打てれば上位に来る。

日本ハムは清宮の離脱が痛い。王柏融は面白い存在だし、吉田輝、柿木がシーズン中にローテに入り自信をつければ、しぶといチームでAクラスも十分にある。だが未知数な部分が多い。楽天は浅村の加入で得点力は上がるが則本の離脱で、この順位になる。ロッテは涌井、石川に続く先発と救援陣が薄いし、野手も発展途上の選手が多い。


里崎智也氏 選手層厚い!!ソフトバンク大本命

<1>ソフトバンク <2>西武 <3>日本ハム <4>楽天 <5>ロッテ <6>オリックス

里崎智也氏
里崎智也氏

ソフトバンクは選手層の厚さが盤石。バンデンハーク、サファテが出遅れてもミランダ、モイネロがおり、中村晃の開幕不在はグラシアルが一塁に入るなどすれば問題ない。ドラ1甲斐野もオープン戦で好投。外野は柳田と上林がいる。選手層を考えれば、1位にしない理由がない。

西武は菊池、浅村が退団した穴をカバーしきれるかどうか。打線は秋山、外崎、山川、森、源田と日本代表クラスが並ぶが、打ち続けて何年も勝つのは難しい。投手陣の再編成が必要。今井や高橋光、新人の松本航、このあたりが結果を残さないと、Bクラス転落の可能性も十分にある。

日本ハムは金子を獲得して先発投手に厚みが出た。打線は全体的に若く、王柏融ら新外国人の成績が順位に影響しそう。キャンプ前は楽天を2位と予想していたが、則本の前半戦絶望で厳しくなった。新人王をとった田中の活躍や浅村の加入、美馬も手術から復活し、爆発力があるだけに、則本離脱は痛い。

ロッテ、オリックスは外国人の頑張りに左右される。本拠地球場が狭くなったロッテは、被本塁打をどこまで減らせるかがポイント。攻撃では三塁打が減ることが予想される。自慢の足を生かし切れなくなった時、1発でよそに対抗するためにも、投手陣の踏ん張りが重要になる。オリックスは金子、西の移籍が大きい。吉田正や山岡、先発調整している山本らポテンシャルの高い選手は多い。それを個ではなく首脳陣が組織としてうまく回せるか。未来に向けて大改革の2、3年になるかもしれない。


山田久志氏 最も変化オリックス台風の目

<1>ソフトバンク <2>オリックス <3>日本ハム <4>ロッテ <5>西武 <6>楽天

山田久志氏(撮影・清水貴仁)
山田久志氏(撮影・清水貴仁)

パ・リーグは1チームが独走するようなペナントレースにならないとみる。戦力が動いたことに、故障者もあって、どこが出でてきてもおかしくはない。

なかでも変わったのはオリックスだ。金子、西が抜けた穴は痛い。若手の山本の成長、軸になる山岡、アルバースの3本柱に、東明、松葉、榊原らがカバーしながら、ディクソン、田嶋の復調を待つ。

吉田正が中心になる打線は面白い。福田、西浦、頓宮ら若手に、助っ人メネセスが働けば、台風の目になる。選手層が厚いとはいえないが、西村監督の経験が生かされるか。

順当にいけば、投の千賀、打の柳田が看板のソフトバンクだろう。だが、先発の顔ぶれがそろったとは言えないし、内川、松田宣らベテランに頼らざるを得ない状況に一抹の不安がある。

日本ハムの上位浮上は投手力にかかっている。清宮離脱は痛いが、機動力を生かせる若手に、中田は当然として、大田、王柏融らが長打力を発揮すれば優勝争いに加わるだろう。

西武は主力の流出をカバーできるか。一方、ロッテは意外性がある。断トツの戦力で抜け出しそうなチームが見当たらないだけに混戦も考えられる。


梨田昌孝氏 栗山采配日本ハムが楽しみ

<1>ソフトバンク <2>西武 <3>楽天 <4>日本ハム <5>オリックス <6>ロッテ

梨田昌孝氏(撮影・清水貴仁)
梨田昌孝氏(撮影・清水貴仁)

今年のパ・リーグは混戦になるとみている。予想はソフトバンクが1位なんだけど、打線がね…。内川、松田宣らベテランをカバーする新戦力がなかなか出てこない。中村晃も体調不良で開幕から不在。投手力はあるが、打線が柳田と外国人に頼らざるを得ない状況が続くと怪しくなるかも。

注目しているのは日本ハム。オフに高梨をトレードに出し、レアードまで退団。投打の柱が抜けたような状態から、どうやってチームを作っていくのか。オープン戦も最下位。清宮も故障離脱したり、レギュラーが決まっていない中、やりくりしていく栗山監督の手腕、采配が楽しみだ。もちろん、大変だろうけどね。就任8年目のシーズンはそれ以上に、やりがいもあると思うよ。

楽天は則本の長期離脱が痛いけど、その分、若い選手がチャンス。安楽、近藤、昨季終盤にデビューした3年目右腕の西口も面白い。オリックスは魅力ある若い選手が多い。荒々しい頓宮、佐野、西浦のスピードに吉田正、新外国人メネセスがうまく絡めば脅威だろう。ロッテも含め下位に予想した3チームもCSを狙える力はある。優勝チームの貯金が10ぐらいの、最後まで分からないシーズンになる可能性はあるよ。


吉田義男氏

<1>ソフトバンク <2>オリックス <3>日本ハム <4>西武 <5>ロッテ <6>楽天


権藤博氏

<1>ソフトバンク <2>日本ハム <3>西武 <4>ロッテ <5>オリックス <6>楽天


西本聖氏

<1>ソフトバンク <2>西武 <3>日本ハム <4>ロッテ <5>楽天 <6>オリックス


篠塚和典氏

<1>ソフトバンク <2>西武 <3>日本ハム <4>オリックス <5>楽天 <6>ロッテ


和田一浩氏

<1>ソフトバンク <2>日本ハム <3>西武 <4>楽天 <5>ロッテ <6>オリックス


昨年順位おさらい

<1>西武     88勝53敗2分け 792得点653失点

      6・5ゲーム差

<2>ソフトバンク 82勝60敗1分け 685得点579失点

      7ゲーム差

<3>日本ハム   74勝66敗3分け 589得点586失点

      8ゲーム差

<4>オリックス  65勝73敗5分け 538得点565失点

      7ゲーム差

<5>ロッテ    59勝81敗3分け 534得点628失点

      1ゲーム差

<6>楽天     58勝82敗3分け 520得点583失点