プロ野球はいよいよセ、パ両リーグが29日に開幕します。日刊スポーツ評論家陣に、今年のペナントレースを占ってもらいました。2回にわたってお届けします。第1弾はセ・リーグ編です。「混セ」を勝ち抜くのはどこの球団か?

3・29 プロ野球12球団開幕投手決定/一覧

吉田義男氏 若い力を矢野監督が引き出す阪神

<1>阪神 <2>広島 <3>巨人 <4>ヤクルト <5>DeNA <6>中日

吉田義男氏
吉田義男氏

セ・リーグは3球団が新監督になって、どのような“色”を出すのか注目しています。阪神は下馬評は低いが、若手がそろってくればわからない。その力を引き出すのが、矢野監督の仕事ですわ。

阪神は1番木浪、2番近本をはじめ、特に4番大山を貫けるか。つまり前監督の金本がまいた種を、矢野監督が我慢をしながら使い続けることができるか。若手が芽を出せば、チームに弾みがつく。

広島はピッチャーに尽きるんと違いますか。昨年までは1番から3番が機能したが、さすがに丸が抜けた穴は大きい。攻撃力はダウンするんと違いますか。先発も、リリーフにも課題がありますわ。

巨人は評判倒れになるとみてます。FA、外国人などで補強しまくったわりには、ちゃんと戦力になっていませんがな。そこを百戦錬磨の原監督がどうやって戦うのか。わたしは苦戦すると思っています。

ヤクルトのほうが不気味です。DeNA? 過大評価でしょ。そうなってくると阪神ですわ。若手のピッチャーの伸び悩みも気掛かりだが、これらが出てくれば面白い。監督もキャリアは浅いが、自分の“色”を出してほしい。混戦に持ち込めばわかりませんで。


権藤博氏 巨人は際立つ原監督の存在感

<1>巨人 <2>広島 <3>DeNA <4>ヤクルト <5>中日 <6>阪神

権藤博氏
権藤博氏

1位予想は巨人だ。丸、中島、岩隈にビヤヌエバと大補強が話題になったが、それよりも大きいと感じるのは原監督の存在感。経験、勝負勘、しぶとさで一枚も二枚も上だからね。相手筆頭となるのはリーグ3連覇中の広島。丸が抜けたとはいえ、大きく崩れる戦力とは思わない。しかし、投手陣には不安がある。特に抑えがね。4連覇に向けては打線がいかにバックアップできるかが鍵になる。

台風の目となる可能性があるのはDeNA。ラミレス監督は采配に思い切りがあり、8番に投手を置くオーダーなど、自分なりの考え、型がある。上茶谷らいい新人も入ったし、上位に食い込む可能性は十分ある。

とはいえ、セ・リーグはパ・リーグに比べれば上位と下位の差は小さい。実はキャンプ前までは、中日と阪神は2、3位候補と考えていた。しかしキャンプを見て、評価を下げた。中日は課題の捕手が固まりきらず、阪神は守備力に難がある。多くの得点が望めない以上、守りでバックアップして投手を勝たせないと、チームは乗っていけない。その点で今のスタメン候補の守備力には疑問が残る。


佐々木主浩氏 投手がはまればDeNAも

<1>巨人 <2>DeNA <3>広島 <4>ヤクルト <5>阪神 <6>中日

佐々木主浩氏
佐々木主浩氏

セ・リーグで注目しているのは私の古巣であるDeNA。去年なかなか結果を出せずに苦しんだ選手が、どれだけ戻ってくるかによって順位が変わってくる。今永(昨年4勝11敗)、石田(同3勝7敗)、浜口(同4勝5敗)の左3本に井納(同6勝3敗)。彼らに本来の投球が戻ってくるのであれば優勝の可能性も出てくる。

このチームは不確定要素が多い。昨季チームトップの11勝を挙げ、今季は開幕最有力とされていた東が左肘違和感でキャンプは2軍。開幕には間に合わず、実戦復帰は4月以降ということで、それがチームにどう影響するか。もともと筒香、宮崎、ソト、ロペスという打線はリーグでも有数の破壊力を誇る。投手陣がはまれば優勝まであるし、はまらなければ5位もある。振れ幅の大きいチームといえる。

全体的に見ると、広島から丸を獲得するなど、巨人の補強が良かった。吉川尚、坂本勇、丸、岡本とある程度、計算できる打線だ。投手陣で吉川光らがしっかりしてくれば、やはり優勝候補の筆頭といっていいだろう。

巨人とDeNAがトップ2で、そこから予想が難しくなっていくのが今年のセ・リーグ。私の東北福祉大時代の後輩である矢野監督が率いる阪神は打線が少し厳しいか。とはいえ最下位に予想した中日以外は実力が伯仲しているし、面白いペナントレースになりそうだ。


谷繁元信氏 補強の質が違う巨人

<1>巨人 <2>広島 <3>ヤクルト <4>阪神 <5>DeNA <6>中日

谷繁元信氏
谷繁元信氏

補強の質が違う巨人が優勝するとみている。丸の獲得は今までのFAと違う。これまで全盛期を少し過ぎた選手の補強が多かったが、丸はまだまだ発展途上とも言える存在で野手への相乗効果が大きい。

去年までの打線は調子の良しあしに影響されていた。丸は計算ができるし、2番にも3番にも入れられて前後が生きる。吉川尚が独り立ちできれば坂本勇との2、3番が組め、4番岡本へと打線が“線”になる。5点打線も期待でき、投手陣への不安がある分、今年は打ち勝つ野球になってくる。原監督は守りの野球も両方でき、3年離れているが経験値があるのが一番大きい。

広島は4連覇の可能性は十分にあるが、順位を予想する上で、丸の抜けた穴を差し引かなければならない。ポスト丸は今年から外野に転向する西川、巨人から移籍の長野らになるが、鈴木の成長力がすごい。去年からワンランク上がっている。打線に頼るところが多く、投手陣の顔触れも大きく変わっていないが、岡田も昨季のような不振はないだろうし、床田もいい。次々に選手が出てくるチームなので優勝争いには絡む。

ヤクルトは決まったメンバーになるが打線の安定感はある。不安は昨年頑張った石山、近藤の中継ぎ陣がへばらないか。DeNAは先発の出遅れが現状の評価に表れる。阪神は糸井、福留、鳥谷頼みでルーキーの近本、木浪は面白いが全員左で打線の期待値が低い。中日は打線は悪くはないが、抑え候補の鈴木博に1年間信頼を置いて戦えるか。優勝争いはマッチレースで、3~6位はどこが来てもおかしくない。


里崎智也氏 侮れない広島の「チーム力」

<1>広島 <2>DeNA <3>ヤクルト <4>巨人 <5>阪神 <6>中日

里崎智也氏
里崎智也氏

順当にいけば優勝候補筆頭は広島。丸が抜けたといっても、昨年丸がいなかった5月も調子を落とすことなく、1位を独走した。次を狙う選手もハイレベルでそろう。鈴木や大瀬良ら、チームの柱に故障が出れば分からないが、去年のリーグ戦のアドバンテージを考えても、ひっくり返されるチーム力とは考えづらい。

DeNAは攻撃面に不安がない。本塁打王ソトが開幕からおり、神里が万全なら足を使う野球が展開できる。今永、浜口が復活して10勝ずつ挙げられれば、東が出遅れたとしても良い戦いができる。中継ぎもしっかりしている。近年はドラ1が活躍しており、上茶谷もはまれば、一番爆発力があるチーム。台風の目になりうる。

打線に厚みのあるヤクルトは先発投手次第。小川、ブキャナン、原あたりの面々がうまく回ること。そしてルーキー清水や日本ハムから加入した高梨ら、新戦力の台頭が上位進出の条件になる。巨人はウイークポイントである中継ぎ以降が改善されていない。勝利の方程式も未確定要素が大きい。新外国人クックの出来次第では昨季の二の舞いになる可能性がある。丸を補強した一方で長野とマギーが抜けた。上位3チームに比べると、たらればや期待値が加味されないと苦しい。

阪神は投手力はあるが打てず、中日は打てるが投手が物足りない。どちらかといえば守れるほうが戦いやすいかという判断で、阪神を5位にした。


山田久志氏

<1>巨人 <2>広島 <3>DeNA <4>阪神 <5>中日 <6>ヤクルト


梨田昌孝氏

<1>広島 <2>巨人 <3>DeNA <4>ヤクルト <5>阪神 <6>中日


西本聖氏

<1>広島 <2>巨人 <3>DeNA <4>ヤクルト <5>阪神 <6>中日


篠塚和典氏

<1>巨人 <2>広島 <3>ヤクルト <4>DeNA <5>阪神 <6>中日


和田一浩氏

<1>広島 <2>巨人 <3>DeNA <4>阪神 <5>中日 <6>ヤクルト



昨年順位おさらい

<1>広島   82勝59敗2分け 721得点651失点

      7ゲーム差

<2>ヤクルト 75勝66敗2分け 658得点665失点

      6・5ゲーム差

<3>巨人   67勝71敗5分け 625得点575失点

      1・5ゲーム差

<4>DeNA   67勝74敗2分け 572得点642失点

      4ゲーム差

<5>中日   63勝78敗2分け 598得点654失点

      1ゲーム差

<6>阪神   62勝79敗2分け 577得点628失点