広島は29日、本拠地マツダスタジアムで巨人との開幕戦を迎える。丸の人的補償として巨人から移籍した長野久義外野手(34)は、代打の切り札としてベンチからスタートする見込みとなった。28日は広島市の広島護国神社で必勝祈願を行った後、マツダスタジアムで最終調整。因縁の相手との初対決に向け、準備を整えた。

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長野は代打の切り札として開幕を迎える。高ヘッドコーチが「そうなるでしょう」と話した。この日はマツダスタジアムで行われたチーム練習に参加。左翼、中堅候補に挙げられていたが、古巣との開幕戦はベンチからスタートする。

ベンチスタートは、菅野対策の一環だ。巨人の開幕投手は、2年連続沢村賞右腕の菅野。緒方監督は「ジャイアンツのエースだし、球界を代表するエース。そんな簡単に攻略できるとは思っていない」と話す。弱点の少ない相手に対し、左翼に昨季対戦打率3割7分5厘の「キラー」西川を置き、中堅には左の野間を送り出す見込み。左打者を積極的にぶつけることで、突破口を開く構えだ。

長野の役割はチャンスで登場し、一振りで得点を奪うこと。巨人時代の昨季は代打として14打席に立ち、10打数3安打の打率3割、1本塁打、4打点。試合展開を読みながら準備する代打の仕事を、着実にこなしてきた実績がある。

この日はフリー打撃で大きな当たりを連発。打撃の調子が上がっていることをうかがわせた。27日のナイター練習では、本拠地の夕方から夜にかけてボールがどう見えるか、ノックの飛球を追いながらチェック。照明の位置も確認した。守備に就くケースも想定し、準備を進めてきた。

緒方監督は長野について「経験のある選手。絶対に彼の力が必要になるときがくる」と話した。今季は必ずしもレギュラーを固定せず、相手投手の右左、相性などを考慮して起用する方針。状況次第では、巨人3連戦中にスタメン出場する可能性もありそうだ。

この日は夫人のテレビ朝日下平さやかアナウンサーが同局内のブログを更新し「半分移住」という表現を使い、広島と東京を行き来すると報告した。新天地での生活も整いつつある長野は「明日から長いシーズンが始まります。苦しいこともあるかと思いますが、みんなで力を合わせて乗り越えて、日本一になるためにがんばります」と意気込んだ。【村野森】