広島が9日、ヤクルトに今季初の2桁失点を喫し、大敗した。開幕10試合3勝7敗は3連覇した過去3年はなかったスロースタート。大黒柱のクリス・ジョンソン投手(34)が炎上し、切り込み隊長の田中広輔内野手(29)も27打席連続無安打と不振にあえぐ。4連覇を目指す緒方広島の真価が問われる。

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上位打線が塁上をかき回し、中軸で得点を挙げる-。広島がやりたい野球を本拠地でヤクルトにやられた。序盤から劣勢の展開となり、中盤以降は四球連発に、拙守も見られ、満員だったスタンドも空席が目立つようになった。終わってみれば、今季初の2桁失点で大敗。4連覇を目指す緒方広島が開幕10試合で3勝7敗と大きくつまずいた。

王者広島の歯車が、かみ合わない。大事な週の初戦を託したジョンソンが大誤算。球速は出ていたが、球が上ずった。初回に5安打を集中されると、立て直すことができないまま3回まで毎回の計6失点。イニング間にベンチ前で迎えるナインに手を合わせる余裕すらなく、代打が送られた3回裏は攻撃開始前にロッカールームへ姿を消した。

大差の展開で攻撃陣の反発力も薄れた。切り込み隊長に当たりが止まっているだけにエンジンがかからない。1番田中は昨年対戦打率3割3分3厘のヤクルト先発原に対しても、4打席連続凡退。3打席が飛球アウトとらしさを欠いている。6試合連続、27打席連続無安打はプロ入り最長の大不振だ。さらに守備でも8回に失策。セ・リーグ最長となる578試合連続フルイニング出場を続ける攻守の要は「僕がしっかりしていれば勝てる試合もあった。何とか早く貢献できれば」と口元を引き締める。

ただ不振は田中だけではない。3番は野間で固定されつつあるが、5番が決まらない。経験のある安部や西川の状態が上がっていない現状が打線再構築を難しくさせている。緒方監督も不振の田中に「このまま変わらないようだったら打線はいろいろ考えて」と打順変更を示唆しながらも「粘り強さは出していかないと。週の頭だし、あとの試合につながらない」と攻撃陣全体の奮起を促した。【前原淳】