平成最後の頂点は渡さない。楽天が西武に連勝。松坂世代初の指揮官、平石洋介監督(38)は就任後初めて単独首位に立った。

「平成の怪物」松坂としのぎを削った高校時代を原点に、選手の個性を把握。固定観念にとらわれず「つなぎの4番」島内など選手の個性を見極めた采配で快進撃を続ける。30代の監督が首位浮上するのは38年ぶりで、平成では初めて。「令和」最初の王者に向け、勝利を積み重ねる。

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闘将のように一喝した。604日ぶりの単独首位浮上。平石監督はニヤリと笑うと「まだ11試合でしょ! そんなの言ったら笑われるわ!」と一息で言った。浮かれず、騒がず。それでも「福井が強気な投球をして勢いに乗れた」と好投の右腕をねぎらった。

昨年の王者を完全に食った。逆転された直後の5回に打者一巡の攻撃で一挙6得点。無死から3四球で満塁の好機を得ると、つなぎの4番島内が逆転の2点適時打を放つなど采配がズバリ的中。9回に守護神松井が1発を浴びるも、逃げ切り「去年は好き放題やられた。終盤に3、4点差あっても逆転されたからね」と今季初の西武2連戦で連勝し、違いを示した。

平成で学んだ教えが息づいている。怪物・松坂(現中日)と甲子園でしのぎを削ったPL学園時代の日々が原点にある。

平石監督 PLは全体練習が1番緊張する。先輩も練習したいから本数がもらえない。ノックが1本、2本で終わる。そこでしっかりとしたプレーをしないと試合には出られない。ダメだったことを1日で反省して、次の日は少しでも良くなっているようにやる。毎日の積み重ねだった。そういうことが自信になるし、真剣にやることで「こいつを使ってやりたい」と思わせる選手になると思う。

だからこそ、結果やアピールという言葉を嫌う。目立った選手を褒めるのでなく、向上していく姿をしっかりと焼き付けていく。島内が「拷問」とこぼす4番起用も「もっと言わせますよ」と能力を信じるからこそ。「1軍だから勝つことは大事。結局は積み重ねていかないと」と日々の成長が地力につながっている。

13年は星野監督の下、日本一を経験。「たくさんのことを教わった」と厳しくも温かいまなざしは今も忘れない。昭和、平成と受け継がれた思いをつなぐ38歳の指揮官。「目の前の試合を全力で行くだけ」と「令和」の頂点に向けて、突っ走る。【島根純】