キャノン砲がバットで火を吹いた。ソフトバンク甲斐拓也捕手がチームを単独首位に導く先制の3ランを放った。

2回2死から松田宣、釜元が連打で一、二塁の好機を演出。甲斐はカウント1ー2から135キロのスライダーをうまく流し打つと、中堅から右翼に吹く風にも乗って右翼ポール際のラッキーゾーンに舞い落ちた。

「打ったのはスライダー。風に乗ってくれました。最初のチャンスで先制点を取れたのはよかった」。うれし恥ずかし今季1号。思いもよらぬ先制弾にベンチも大喜びだった。打率はまだ1割台と低空飛行だが、この4試合はこの日の1発を含め4戦連続ヒット。「今まで監督やコーチの期待に応えられなかったけど、何とか打ててよかった」。ようやく笑顔も戻った。6回には1死満塁から押し出し四球を選び、計4打点の活躍。「自分の仕事は後ろにつなぐことなので」。貴重な追加点は捕手ならではの、選球眼で奪い取った。

もちろん、本業のマスクでも2年目サブマリン高橋礼を好リードした。7回1失点の好投を引き出し、川原、奥村の継投も最少失点で守りきった。扇の要はチームとともに上昇機運に乗るつもりだ。