ソフトバンクがエースの力投で連敗を「3」で止めた。千賀滉大投手(26)が西武打線を8回2安打無失点に抑え、今季4試合目の登板で初勝利を挙げた。3戦連続2ケタとなる11三振を奪い、チームを鼓舞。ロッテ戦同一カード3連敗の悪夢を振り払った。首位楽天に0・5ゲーム差に迫った。

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これぞエースの投球だ。千賀は抜群の安定感で6回1死までノーヒット投球を見せた。快挙達成を予感させたが、金子侑に初安打を許した。「9回だったら意識するけど。何も思わなかった」。直後に遊撃今宮の失策で一、三塁にピンチが拡大。ここから一気にギアを上げた。3番外崎を空振り三振。4番山川を右飛に仕留めた。2回にも松田宣が失策した直後に二ゴロ併殺で切り抜けていた。「そういうところでスイッチを入れて、ゼロで抑えられてよかった」。味方のミスをカバーする堂々とした投球だった。

この日の最速は159キロ。序盤は力で押し、後半は変化球を増やして西武打線に的を絞らせなかった。8回の126球目、外崎を155キロ直球でこの日、11個目の三振を奪って、ほえた。2ケタ奪三振は3戦連続。チームの連敗を3で止め、自身も4戦目でようやく初白星となった。「やっと開幕した。よかったです」と笑った。

開幕投手を務めたが、ここまで3戦に好投しながらも白星はなかった。それでも心に乱れはなかった。昨年12月にカブスのダルビッシュに会った後、すべて野球にささげる真摯(しんし)な姿を心に誓い続けた。トレーニングやサプリなどを参考に体を大きくするだけでなく、エースとしての振る舞いも、今年は心がけてきた。「堂々と投げてチームのみんなに大丈夫と思ってもらえるように」。その姿はナインも感じていた。内川が「雰囲気が変わってきた。ひとまわり大きく見える」と言えば、工藤監督も「ふたまわり大きくなった。気迫をすごく感じた」と成長を喜んだ。

この日の試合前、練習着の背中にビックリマンチョコのシールが貼られていた。長谷川勇からもらった「魔怪球フォーク巣」という悪魔シールだった。バッグの内側に貼っていたものが、練習着に引っ付いてきたという。悪魔の力? も借りてか、ここまで先発6試合、リリーフも入れると11試合で0勝3敗とレギュラーシーズンで勝ったことのなかったメットライフドームでの初白星となった。今年の千賀は心身ともに真のエースに成長している。【石橋隆雄】