広島がヤクルト4回戦(神宮)で完勝し、借金を完済した。打の主役は長野久義外野手(34)だ。6回2死一塁で先制の適時二塁打。移籍後初のV打でチーム8連勝を呼んだ。

投手陣も床田寛樹投手(24)がリーグトップタイの4勝目を挙げるなど、3試合連続完封勝ちを飾った。今年のゴールデンウイークは異例の大型連休だが、コイは超大型連勝!?

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均衡を破る一打が、8連勝へと加速させた。両軍無得点で迎えた6回。2死一塁から長野が小川の高め真っすぐを強振した。右中間への打球はフェンスを直撃。一塁走者菊池涼が生還する先制二塁打となり、移籍後初の決勝打となった。

「床田が頑張っていましたし、キクも2アウトから出てくれたので。積極的にと思っていた」

主砲欠場の穴を見事に埋めた。鈴木が先発から外れた全4試合で安打を放ち、3試合で打点をマーク。8連勝中も6試合先発出場するなど20打数6安打で打率3割、1本塁打、3打点。進塁打や粘って四球を選ぶなど献身性も示す。迎打撃コーチも「チームとしてやるべきことをベテランがやってくれると助かる」と目を細める。9回無死一塁からのランエンドヒットも右足を引いて確実に右方向へゴロを転がした結果、右前打。追加点の呼び水とした。持ち前の打撃センスで、広島野球にも順応した。

転んでもただでは起きぬ。25日中日戦、バティスタの三塁線を破る当たりで一塁から一気に本塁を狙うも、足がもつれて三本間でずっこけた。先制機を逃した悔しさを今季初の決勝打で晴らした。ただ、試合後は「個人的なことよりもチームが勝つことが一番なので。そのためにまた、頑張ります」と長野節だった。

気遣いも長野流だ。25日の中日戦前、マツダスタジアムのプレスルームに差し入れが運ばれた。球団職員は提供者の名は隠したが、差し入れが球場内で販売中の選手プロデュースメニュー「長野のジャパチキバーガー」40個だっただけに、提供者は明らか。それでも長野は「僕じゃないですよ」と笑いながら、最後まで認めなかった。

長野の復調とともに広島は8連勝で、最大8あった借金を一気に帳消しにした。鈴木も4試合ぶりに実戦復帰し、3試合連続0封勝利。12連戦も白星発進と、今年もコイの季節がやってきた。【前原淳】