今季初先発の巨人今村信貴投手(25)が、7回無失点の「ハツラツ投球」で今季初勝利を挙げた。試合中に原辰徳監督から「楽しめ」と助言を受け、4回以降はノーヒット投球。天敵のDeNA筒香も無安打に封じた。

開幕ローテを逃し、リリーフでベンチ入りしたが、不調で2軍に降格。元マリナーズのイチロー氏に憧れた少年時代に立ち返って、はい上がった。チームは16勝8敗で貯金を8とし、「平成」から「令和」への首位ターンを決めた。

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3回裏、二塁で封殺され、ベンチに戻った今村は原監督に声を掛けられた。「ビックリしたけど、逆に開き直れた」。今季初先発の緊張感、重圧から3回までは毎回走者を背負う我慢の投球。指揮官から「もう少し自分を高揚しながら、楽しんで放ってくれ。演じてくれ」と助言を受け、4回以降は無安打、7回2安打無失点で今季初勝利を挙げた。

悔しさを糧にした。昨季はキャリアハイの6勝をマーク。今季は開幕ローテの一角で期待されたが、直前で漏れ、開幕はリリーフで迎えた。2試合に登板したが、6日のDeNA戦で2回3失点と打ち込まれ、2軍に降格。「悔しいですけど、結果の世界。やるしかないので」と雪辱を期し、直球の質、低めの制球を磨いた。

小学6年の時、どんな苦境にも挑むことを誓った。「いやな時もあるけど、ぼくはそれをのりこえて野球をつづける」。約束とともに大きな夢を記した。「イチローみたいになってやる」。3月、運命に導かれるかのように、マリナーズとのプレシーズンゲームに先発し、イチローと対戦。2打席封じ「夢のような最高の時間」を心に刻んだ。

天敵の筒香にも真っ向から勝負した。開始前の時点で9打数7安打4本塁打だったが、1打席目は直球で右飛。2打席目は四球で、3打席目は94キロのカーブで中飛に抑えた。「気持ちは見せられた」と話した。この日の朝、夫人手作りのおにぎりが2個入ったミニバッグを手に球場入りした。「イチロー流」で白星とともに、おにぎりの数も積み上げる。【久保賢吾】