悪夢を断ち切った。DeNA東克樹投手(23)が、6回1失点で今季初勝利をつかんだ。「ボールが荒れていた」と課題を口にしたが、昨季9打数6安打で打率6割6分7厘の天敵ビシエドを3打数無安打。「つながれたら、大量得点になっていたかもしれない」と流れを引き寄せた。

東 ホッとしています。やっぱり1勝するだけで、メンタル的に楽になりますから。

そう言うのも無理はなかった。今季初登板だった6日巨人戦(横浜)。自己最短&ワーストの3回8失点KOを食らった。昨季6戦5勝で「巨人キラー」と言われた男が、悪夢を見た。「いつもは試合の映像は振り返るんですけど、今回ばかりは見ていないですね。ちょっと2、3日はメンタルに来ました」と、あえて避けた。キャンプ前に左肘の違和感を発症。出遅れたこと以上に、自分へのいら立ちが勝った。

いまいましい夢を解き放ったのは、周囲だった。母由紀さんからは、長文のメッセージが届いた。「いつも励ましてくれる。『切り替えて』って言ってくれて」と前を見据え、周りを見た。「菅野さんだって、武田さんだって、すごい投手も打たれる時は打たれる」とリアルの世界に戻った。

試合前にセレモニアルピッチを行った歌手相川七瀬(44)が、試合後にヒットソング「夢見る少女じゃいられない」のスペシャルライブを披露した。チームは5月に入り、ようやく4勝目。借金は10になった。東にも、DeNAにも悪夢はもういらない。【栗田尚樹】