阪神西勇輝投手(28)がプロ入り初めて広島戦で敗れた。8回6安打3失点で今季4敗目。6回に打線が2-1と逆転したが、8回1死走者なしから四球と3連打で再逆転を許した。試合前で広島には5試合で3勝0敗、同じく甲子園では抜群の防御率1・54。そんな西の好データは生きず、救援陣も打ち込まれる大敗。直前の巨人戦連勝がかすみ、3位タイに後退。今季甲子園で8勝11敗と虎がもがいている。

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西が広島戦で負けた。まさかのシーンは8回だった。1点リードで1死から代打松山に四球。そこから野間、菊池涼、バティスタに3連打を浴び、一気に逆転を許しての敗戦。オリックス時代から通算6試合目での広島戦初黒星。試合後は「本当はカード頭を取りたかったんですけど…」と、悔しさが募った。

不運も重なった。8回1死一塁。野間の強い打球は一塁正面。打ち取った…かと思ったが、一塁手マルテが捕球できず。マルテのミットからこぼれたボールを、慌ててダッシュで西が拾いに向かったが、オールセーフ。うまくリズムに乗れなかった。

「自分の中で(8回を)投げきりたかった。長打というよりも単打、単打だったので。(松山への四球は)勝負した結果。しっかりコースを突いた結果でした。攻めた中での四球。あそこで一番ダメだったのは本塁打だったので」

さらに試合中にはマウンドの土が気になり、左足の着地点を確認。何度も踏み出す足を気にするそぶりを見せていた。カード頭を任されたマウンドとあり、チームを白星に導きたかったが、うまくかみ合わなかった。矢野監督は「西らしいピッチングをしてくれていた。う~ん。一番苦しいところで悔しいし、勝ちたいけど、勝負している中で仕方ない部分もある」と思いやった。

広島戦は4月7日に敵地マツダスタジアムで完封勝利を挙げていた。好相性をキープしたかったが、打線の援護にも恵まれなかった。ただ、今季4敗目を喫したとはいえ、8回を投げて3失点。安定感が崩れ去ったわけではない。

「客観視したらゲームを作れたみたいになるんですけど、最後の場面で…。任された中で結果を出すのが一番よかったんですけど。自分自身、全力でやった結果だったので、切り替えて次の試合に臨みたい」

この日は悔しさを味わったが、その思いを晴らす舞台は、まだ十分にある。【真柴健】