広島が巨人に競り勝ち10連勝、2年ぶりの2桁連勝に乗せた。父義雄さん死去で一時的に戦列を離れていた緒方監督も、この日から復帰。2死からのスクイズや、決死の継投と執念の采配を見せた。

先発床田は巨人打線を相手に5回3失点と粘り、打線もバティスタの2発など4本塁打で8点。リーグ4連覇へコイがますます勢いを増してきた。

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2アウトからスクイズ。緒方監督が執念の采配で貴重な1点をもぎ取った。1点リードの7回。2死から代打坂倉が、代わったばかりの戸根から二塁打で出塁し、2球目にパスボールで三進。バッテリーの動揺を見透かしたように、三塁走者坂倉が3球目にスタートを切った。野間は投前にセーフティーバント。オールセーフで5点目が入り、勝利への流れが決まった。

緒方監督は「作戦のことはコメントする気はない。でもチャンスのときにそういう攻撃ができた」と話した。執念の采配はさらに続く。その裏1死一塁から、3番手一岡が代打中島の頭に当て、危険球退場。両チームナインがホームベース上でもみあった。ここで田中俊に対し、九里を急きょワンポイント起用。一岡、フランスア、中崎とつなぐ勝利の方程式に迷わず別のカードをかませ、ピンチを脱した。

緒方監督は深い悲しみを胸に秘めていた。22日早朝に父義雄さんが死去し、チームを離れて中日戦を欠場。葬儀を終え23日に東京入りしていた。東京ドームに入る際「(22日中日戦に勝ち)選手だけでなく、コーチ、スタッフに感謝しかありません」と話した。その後、ベンチ裏でナインらに向き合い「心遣いをありがとう、勝ってくれて手向けになった」と伝えていた。

義雄さんは亡くなる前日の21日、佐賀・鳥栖市内の自宅で広島が中日に勝って首位に浮上する姿をテレビで見守っていたという。息子の喜ぶ顔を見守ってから天国へ旅立った。鳥栖市内で鮮魚店を営み、広島戦をテレビ観戦するのが楽しみだった父。緒方監督は多くを語らず、努めてふだん通りに勝負に徹した。

2年ぶりの10連勝で、2位巨人に2ゲーム差をつけた。悲しみを乗り越え、緒方カープがリーグ4連覇に向かう。【村野森】