「四天王」だけじゃない! 阪神が今秋のドラフト会議で社会人の即戦力投手を1位候補に挙げていることが28日、分かった。JFE西日本・河野竜生投手(20)と東海理化・立野和明投手(21)の左右両腕だ。今年は163キロ右腕の大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)ら高校四天王がドラフトの中心になるが、阪神は即戦力にも広く目を配る。この日は球団事務所でスカウト会議を開き、有望高校生のビデオをチェックした。

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高校四天王の動向ばかりが目立つ今年のドラフト戦線で、阪神は即戦力の逸材にも熱視線を注いでいる。昨年から大きく台頭した河野と立野について球団関係者は「2人とも1位候補に入ってくるでしょう」と明かした。昨年に引き続き、この春も主要大会を中心に手厚いマークを続けている。

河野は左腕から最速149キロを投げる。鳴門高時代に3度甲子園出場。小柄ながら投げっぷりと勝負度胸に定評がある。変化球も多彩で制球もよく、プロでも1年目から先発、中継ぎの両方で計算できるタイプだ。4月に鳴尾浜で阪神2軍とプロアマ交流戦を戦い、4回2失点だった。故障明けのため本調子ではなかったが、悪いなりにもプロ相手に試合を作れる技術を示した。複数の球団関係者で見守った阪神にとっては格好の「見本市」だった。

一方の立野には今月22日の都市対抗予選で担当以外も合わせ8人の編成担当者やスカウトを派遣して入念にクロスチェックした。高校では目立った存在ではなかったが、成長著しい。整ったフォームから最速152キロを誇る。河野より経験が少ない分、今後の伸びしろに魅力を感じるスカウトが多い。

ともに高校から社会人に進み、ドラフト解禁の3年目。その若さも魅力だ。今年21歳は才木、浜地と同じ。少しずつ選手の若返りが進んでいる阪神だが、20代前半のボリュームをまだまだ増やしたいところ。常勝軍団の構築へ、投手陣の強化は継続したテーマだ。選手の年齢層も考えながら戦略を練ることになる。

この日のスカウト会議では夏の大会を控えた高校生のビデオを検証。大船渡・佐々木のほか星稜(石川)・奥川恭伸、横浜(神奈川)・及川雅貴、創志学園(岡山)・西純矢の「四天王」を筆頭に、高校生の投手・野手を十数人チェックした。彼らがドラフトの目玉になるのは間違いないが、阪神はチームの現状に見合った戦略も探っていく。

◆河野竜生(かわの・りゅうせい)1998年(平10)5月30日、徳島県鳴門市生まれ。林崎小1年から野球を始め、鳴門二中では軟式野球部。鳴門では1年夏からベンチ入りし、夏の甲子園に3連続出場。3年夏はエースで8強。JFE西日本では1年目からベンチ入り。昨年の日本選手権で2完封し敢闘賞。174センチ、81キロ。左投げ左打ち。

◆立野和明(たての・かずあき) 1998(平成10年)4月3日、愛知県豊山町生まれ。小学1年から豊山フェニックスで野球を始め、豊山中では東海チャレンジャーボーイズ。中部大第一では県8強が最高。東海理化1年目はホンダ鈴鹿、2年目は東邦ガスの補強選手で都市対抗に出場。181センチ、78キロ。右投げ右打ち。