昨年第1代表のトヨタ自動車東日本(岩手・金ケ崎町)が、オールいわきクラブ(福島・いわき市)を7回コールドの12-0で下し、代表切符に望みをつないだ。3年目の先発右腕・佐々木大和(20=盛岡商)が7回2安打8奪三振無四球の好投。7回表は羽田野恭平内野手(29=花巻東-関東学院大、写真は東北題字)のランニング本塁打が飛び出すなど、打線も勢いを取り戻し快勝した。JR盛岡(岩手・盛岡市)は三森寛人捕手(24=富士大)の公式戦初本塁打などで、富士通アイソテックベースボールクラブ(福島・伊達市)を振り切った。

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トヨタ自動車東日本が、崖っぷちから2年連続の東京ドームを狙う。初戦となった1日の第1代表決定トーナメント準々決勝では、昨年第2代表の七十七銀行(宮城・仙台市)に敗退。第3代表決定トーナメントに回った。代表への条件は5連勝あるのみ。負けた瞬間にすべて終わる。重圧の掛かる仕切り直しのマウンドに送り出された佐々木は、「こういう試合で使ってもらい期待に応えたかった」と最速147キロの速球を柱に、変化球を丁寧にコースに投げ分け、3安打8奪三振と相手を封じ込めた。

都市対抗初出場となった昨年の東芝戦では、4回表1死満塁の場面に3番手で登板。暴投、四球、適時打、安打と1死も取れずに無念の降板となった。試合も7回コールドの1-12と、夢舞台で屈辱を味わった。「初めての東京ドームで、相手の勢いに押されてしまった。抑えなければいけないと思いすぎた」と、力を出し切れずに終わった。

ショックとともに再挑戦への熱い気持ちがふつふつと湧いてきた。「もう1回あのマウンドに立ってリベンジしたい」。カーブ、スライダー、フォークと変化球の精度を磨き、「3ボールからでもストライクが取れるようになった」。この日の無四球で成長を証明してみせた。

ランニング本塁打を放った羽田野は「昨日の負けでみんなで気持ちを切り替えた。苦しい状況ですけど、この逆境に立って勝てたら本当に強くなれると思う」と、チーム全員の気持ちを代弁した。絶対に負けられない戦いがそこにはある。トヨタ自動車東日本が、昨年覇者の底力を見せる。【野上伸悟】